あなたが外国人上司に低く評価されがちな理由(わけ)

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

生き残りたいなら主張せよ

一方、転職が一般的な海外では、社内の人間関係は、日本ほど長期には及ばない。上司とはどうせ今だけの付き合いだ。社員の関心事は職場の人間関係よりも自分の市場価値を高めること、協調性や集団行動よりも個人としての独自性・希少性を発揮する方向に向かう。自分の考えを主張することは、自らの価値を周囲に認めさせるために必要な行動なのだ。自分は優秀でかつ会社に貢献している(と考えている)社員ほど明確に主張する。

このような違いがあるため、上司の部下に対する接し方、リーダーシップの在り方も違ってくる。例えば日本企業では良好な人間関係を築き維持する能力、関係者間の意見や利益の調整ができることが組織で成功をおさめるための必須条件だ。しかし海外ではそれだけではリーダーとして認められない。自己主張の嵐がふきあれるなかで、自分の考えを論理的かつ明快な言葉を使って説明し、共感や理解を求めながらも、最終的には自分が決めるのだ、というスタンスがなければ優れたリーダーとはみなされない。

こうしたリーダーシップのスタイルに慣れている外国人上司にとって、日本人部下は残念ながら「未熟なビジネスパーソン」とみなされてしまう。例えば議論の場では微笑むばかりでめったに口を開かない、たまに意見を述べても言葉足らずで表面的、議論になるとすぐ自分の意見をひっこめる、といった行動を見た外国人上司は、日本人部下のことを思考が浅く傾聴すべき意見をもっていないと誤解する。

外国人上司にとって「価値がある部下の行動」とは、単に追従してくれる部下ではなく、リーダーが正しい結論を導きだすために是非とも参考にしたくなるような、説得力のある論理にうらうちされた正論や、自分では思いつかないような異なる視点を提供してくれる部下だ。

とりわけM&Aなどで買収先の日本企業に派遣され1、2年という短期間で成果を出さなければならない経営トップや部門責任者にとって、このような社員は金のわらじを履いてでも求めたい部下ということになる。

NEXT STORY

「130万人の社長データ」調査

東京商工リサーチ
| 2016/10/17
2016.10.17

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5