あなたが外国人上司に低く評価されがちな理由(わけ)

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ある日突然、あなたの上司が外国人になったらどうする?

ある日突然上司が外国人になったら?外資系企業の社員に限らず、たとえあなたが日本の会社に勤めていたとしても、外資による買収や合併によってある日突然外国人が上司になることもありうる時代になった。その場合、外国人上司と働くという今までと異なった環境に身を置くわけだが、実力を発揮して正当に評価されるのはそう簡単なことではない。本稿では特に欧米企業出身の外国人上司を想定して、高く評価される部下の行動原則についてふれてみたい。

慎み深い国民性がアダに

最初に注意が必要なのは、日本人の美点といわれる協調性や集団行動が、実は低い評価のもとになりかねないという点だ。日本人のビジネスパーソンにありがちなのが、空気を読んで自分の意見を控えたり、衝突を回避しようとする行動だ。

意見対立が感情的なしこりを生み人間関係を壊すといったリスクを避けたいと考える。それでも意見が対立する場合は、パワーバランスに則って一方が折れるか、「大局的見地」という曖昧な決着がはかられる。過去何十年も続いてきた強固な終身雇用制度のもとではぐくまれた、日本独特の長期的な人間関係を最優先する価値観が、こうした過度の協調性や集団行動の背景にあると言われているが、終身雇用という言葉が死語になりつつ今日でも、この状況は変わっていないように見える。

生き残りたいなら主張せよ

一方、転職が一般的な海外では、社内の人間関係は、日本ほど長期には及ばない。上司とはどうせ今だけの付き合いだ。社員の関心事は職場の人間関係よりも自分の市場価値を高めること、協調性や集団行動よりも個人としての独自性・希少性を発揮する方向に向かう。自分の考えを主張することは、自らの価値を周囲に認めさせるために必要な行動なのだ。自分は優秀でかつ会社に貢献している(と考えている)社員ほど明確に主張する。

このような違いがあるため、上司の部下に対する接し方、リーダーシップの在り方も違ってくる。例えば日本企業では良好な人間関係を築き維持する能力、関係者間の意見や利益の調整ができることが組織で成功をおさめるための必須条件だ。しかし海外ではそれだけではリーダーとして認められない。自己主張の嵐がふきあれるなかで、自分の考えを論理的かつ明快な言葉を使って説明し、共感や理解を求めながらも、最終的には自分が決めるのだ、というスタンスがなければ優れたリーダーとはみなされない。

こうしたリーダーシップのスタイルに慣れている外国人上司にとって、日本人部下は残念ながら「未熟なビジネスパーソン」とみなされてしまう。例えば議論の場では微笑むばかりでめったに口を開かない、たまに意見を述べても言葉足らずで表面的、議論になるとすぐ自分の意見をひっこめる、といった行動を見た外国人上司は、日本人部下のことを思考が浅く傾聴すべき意見をもっていないと誤解する。

外国人上司にとって「価値がある部下の行動」とは、単に追従してくれる部下ではなく、リーダーが正しい結論を導きだすために是非とも参考にしたくなるような、説得力のある論理にうらうちされた正論や、自分では思いつかないような異なる視点を提供してくれる部下だ。

とりわけM&Aなどで買収先の日本企業に派遣され1、2年という短期間で成果を出さなければならない経営トップや部門責任者にとって、このような社員は金のわらじを履いてでも求めたい部下ということになる。

反論や異論を唱えるなら十分な下準備を

ただし外国人上司に意見を提示するときのマナーがあるので注意して欲しい。まず感情的にならないことである。ボキャブラリー不足が原因で自分の考えが十分表現できず理解が得られなかったりすると、感情的な反応を返しがちであるがであるが、それはあなたの評価を下げる。

外国人とも喧嘩ができると自慢する人を時々見かけるが、ビジネスパーソンの基本は冷静な態度による対話であり、それには想定問答を用意するなどの下準備と言語力が大切だ。ビジネスレベルの言語力がない場合は、ブロークンでも通じるなどと過信するのではなく通訳を使うべきだ。また、異論に対しては、建設的な議論をしたいと思っていることを態度だけでなく言葉で伝えることも重要だ。

個々人の違いに価値を置く社会環境で育った外国人上司にとって、日本人部下であるあなたがもたらす「違い」も十分に価値があるものだということを忘れないでほしい。

文:人事コンサルタント ミッキー/編集:M&A Online編集部

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