MBO、上場廃止前でもプレミアム 

 ちなみに、対象年内のMBOにおいてディスカウントディールはわずか一件のみ存在している。2012年の営業・販売支援のセレブリックスのMBOのプレミアムはマイナス7.5%、一応付け加えておくならば公表日ベースでは6.2%である。何故こんなにもプレミアムが低いのかと言うと、セレブリックスは2期続けて億単位の純損失を計上し、債務超過に陥った為、上場廃止も秒読みだった。経営陣は株主に投資回収の機会を与える為にMBOを行ったという背景だ。放っておけば紙切れになる株式に、少なくとも公表日時点ではプレミアムが付いていたのだから、随分と良心的な対応である。

 裏を返せばこの事例から、MBOで非公開化を前提に一般株主から株を集めようとする場合、上場廃止も間近のこんな状況になってさえプレミアムを支払わなければ応募がないとも言うことが出来る。

 冒頭、「経営陣が会社を安く買い叩く」というMBOの一般的なイメージに疑問を呈した。実際に、経営陣の立場をもってすればそれは不可能ではないだろう。しかしながら、世には法があり、株主も弱い立場を許容して諦めるほど甘くない。

文: ストライク 企業情報部・井上 美沙

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