MBOの平均プレミアム、TOBを上回る

 これらを詳しく読み解いて行く。

買収プレミアムの推移                   
  MBO    TOB全件
(除ディスカウント)
MBO以外  
2006年 35.7% 24.3% 21.7%
2007年 38.5% 30.8% 29.3%
2008年 76.7% 54.6% 47.4%
2009年 79.4% 63.8% 58.3%
2010年 49.9% 47.4% 46.6%
2011年 55.3% 54.9% 54.6%
2012年 48.8% 50.0% 50.3%
2013年 33.5% 48.4% 53.0%
2014年 31.7% 36.7% 37.6%
2015年 48.8% 33.5% 31.6%
2016年 44.5% 44.5% 44.6%
平均 49.3% 44.5% 43.2%
中央値 48.8% 47.4% 46.6%
  MBOTOBの件数
     MBO件数   TOB全件   ディスカウントディール件数
2006年 9 57 10
2007年 14 97 11
2008年 16 71 6
2009年 18 77 8
2010年 13 56 6
2011年 21 59 3
2012年 9 47 5
2013年 9 49 11
2014年 4 33 6
2015年 5 48 4
2016年 4 33 8
122 627 78

 結論から言おう。推移はさておき、期間を問わず全件の平均値で言うと、ディスカウントディールを除外してもしなくても、MBOにおけるプレミアム平均はTOB全件/MBO以外のTOBそれぞれの平均値を上回っている。推移に言及するとしたら、かなり波があるTOB全件/MBO以外のTOBに対して、MBOのプレミアム平均値は一貫して30%以上を推移しているという点だろうか。

 ディスカウントディール除外での2012~2014年について見て行きたい。

 2012年、2013年は他の年と比べてもTOBにおけるプレミアム平均値は高い。

 2012年はTOB全般においては油空圧機器メーカーのTAIYOやサンケイビル等、100%を超えるプレミアムがついたディールが平均値を押し上げているのに加え、全体的に高い水準でのプレミアムがついていた。一方で、MBOは30%台が3件、40%台が2件、50%、60%、70%が各1件ずつ。安定的ではあるのだが、平均値を引き上げるディールはない。

 2013年も引き続きTOBでは調剤薬局のオストジャパンや、エンジニアリング会社の東洋製作所(現三菱重工冷熱)等100%超のプレミアムがある上に、調剤薬局、健康食品などを手掛けるトータル・メディカルサービスのプレミアムは206%と大変高水準だった。

 MBOでは、スルガ銀行によりデットエクイティスワップ(債務の株式化=DES)を含めた再生支援を受けていた天龍木材が17.19%、かねてより業績と株価が低迷し続けていた金融機関向けシステムのシンプレクスホールディングスが15.47%。まれに見るプレミアムの低さだが、9件中2件がこれでは平均値も下がる。尚、シンプレクスHDの株価低迷は経営陣の業績操作等でなさそうだ。2005年に東証一部に市場変更した際には6万円(調整後)にも迫り、2006年には10万円をも超えた株価が2012年頃には2万円台に低迷していた。MBO手前では4万円足らずまで値を戻している。

 2014年はわずか4件しかないMBOのプレミアムがいずれも26.9%~37.6%と無難な水準に収まっている。パッとしない数字ではあるものの、この26.9%という数字でさえも、2006年のTOB全件/MBO以外のTOBの平均値を上回っていることを思えば、決して低すぎるラインではないだろう。ちなみに同年のMBO以外のTOBでは、保険代理店を運営するウェブクルーの16.34%やSBIライフリビングの21.87%等、前述26.9%を下回るものも複数ある。

 ゆえに、2012年~2014年の数値を以てMBOのプレミアムは低いということは難しそうだ。