技術と歴史を顕彰する高野口パイル織物資料館

JR高野口駅のそばにある高野口パイル織物資料館

JR高野口駅から徒歩2分、紀州繊維工業協同組合の西隣にある「高野口パイル織物資料館」を訪ねてみた。高野口周辺のパイル織物の歴史や現代の織物について紹介するために、紀州繊維工業協同組合がパイル織物誕生110周年を記念して1986年に開館した施設である。

伝統工芸である織機や再織の工程説明のほか、新幹線のシートカバーなど数々の製品が展示されている。展示物のなかには、再織でつくられたゴルフバッグもあった。

普段は地元の学校の校外学習のほか、地元住民をはじめ関西一円、全国からも体験希望者が集い、織物教室などを開催しているという。

新幹線のシートにも高野口パイル織物が活かされている。ならば、自動車はもちろんのこと飛行機、客船などのシートも可能だ。いま、高野口パイル織物は、B to Cだけでなく、従来とは異なるB to Bの分野での活用も大きく広がっている。

現在、高野口パイル織物は業界のなかで国内有数の生産高を誇るようになったという。だが、少し冷めた見方をすれば、復活を遂げたといっても、閑散とした地方駅の傍にある産業資料館と地場の中小事業者群であることは事実だ。その中小事業者の現場では後継者難は続き、パイル織物業界全体として往時の繁栄をもたらすような起死回生の打開策は一筋縄では見つけにくい。この構造的な課題は依然残ったままである。

文:M&A Online編集部