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​【JR東日本・JR北海道】資本統合の可能性を探る(前編)

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中村昌寛

拡大した本州3社と3島会社との経営格差

新幹線の営業キロは延伸したが……(東北新幹線)

最後に、自動車、鉄道、JR、航空、旅客船の輸送分担率をみておこう。鉄道の輸送分担率は30%前後、JRのそれは20%前後で推移しており、JR体制のもとで鉄道の輸送分担率がとくに高くなったわけではない。

このようにみてくると、JR体制のもとで、鉄道の輸送手段としての地位が上昇したとはいえない。営業キロは減少し、輸送人キロも横ばい、輸送分担率もそれまでと比べてあまり変わらなかった。つまり、赤字の国鉄がJRという優良企業に華麗な変身をとげたようにみえるが、輸送市場における鉄道の地位にはさほどの変化はみられなかったのである。しかも、さらに重要なのは、JR旅客6社がすべて「優良企業」になったわけではないということである。本州3社と3島会社との間の経営格差は、この30年の間にむしろ拡大したのであった。

(つづく)

文:老川 慶喜(跡見学園女子大学教授・立教大学名誉教授)

老川 慶喜 (おいかわ・よしのぶ)

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授。 1950年、埼玉県生まれ。

立教大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。専門は交通史、鉄道史。 現在、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授、立教大学名誉教授。1983年、鉄道史学会設立に参加、理事・評議員・会長などを歴任。

近著に、『鉄道と観光の近現代史』 (河出ブックス)、『日本の企業家 5 小林一三 都市型第三次産業の先駆的創造者』 (PHP経営叢書)、『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇 - 日露戦争後から敗戦まで』 (中公新書)など


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