オムニチャンネル構想の13年から
アグレッシブなM&A戦略

 さて、経営戦略としてオムニチャンネルの構想を掲げた13年から同社のM&A攻勢は目覚ましい。オムニチャンネルとは、リアル店舗とネット販売という違いだけでなく、コンビニと百貨店といった業態の違いも超えた、あらゆる販路をもシームレスに統合し、どのような販路でも顧客に同じ購買体験を提供することを趣旨としたものだ。

 ここ最近のM&Aでは13年12月のニッセンホールディングスに対するTOBが起点となった。実店舗・ネット販売の双方で顧客との接点を広げる構想の中、EC(電子商取引)分野が補完されることになる。

 ニッセンのTOBと時を同じくしてバーニーズ ジャパンの株式取得を行い、15年には完全子会社化。同ブランドにおける顧客ロイヤルティーの高さ、子会社のミレニアムリテイリングが営む百貨店事業との親和性の高さを買ったかたちであり、同時にオムニチャンネルに乗せる商品としての展開も視野に入れる。14年1月にはFrancfranc(フランフラン)で知られるインテリア雑貨店バルスの株式を48.67%取得している。

 また、セブン&アイ・ホールディングスは1号店を東京都・千住で開店したヨーカ堂がルーツであることから、歴史的に関東地区に強く、地域によっては強みが十分に発揮できていない。それを補完するために、有力な地場スーパーへの資本参加も行っている。11年に近鉄子会社の近商ストアに30%出資(後に資本提携解消)、13年7月に北海道帯広に本拠地を置くダイイチに30%出資、13年12月に岡山と広島に店舗を持つ天満屋ストアに20%出資している。これらは自社店舗網が薄い地域の補完効果を持つものと期待される。

小売業に徹したM&A戦略
次に描く業態は何か

 セブン&アイ・ホールディングスによる買収は、一貫して小売業をターゲットとし、その中でポートフォリオを描いている。コンビニ、スーパーを軸とし、百貨店、専門店から通信販売と多様な業態を持つセブン&アイ・ホールディングスであるが、ドラッグストアなど、まだ傘下にはない業態もある。

 01年に新規参入した銀行業など、金融関連も小売業を補完する位置づけとしてM&Aのチャンスがありそうだ。特にインターネットが普及したことで小売業と金融業の垣根は低くなっている。オムニチャンネルを推進していくにあたり、同社のM&A戦略を占うには「何が足りないか」がカギを握るだろう。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

関連リンク
コンビニ 統合の歴史を整理してみました
【ユニー・ファミリーマートホールディングス】コンビニ2位浮上、収益力に課題も