新型コロナにオミクロン株発生、そもそも「オミクロン」って何?

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次々と登場する新型コロナウイルスの変異株(写真はイメージ)

またも新たな変異株が発生した。新型コロナウイルスに「オミクロン株」が検出され、初めて確認されたアフリカ南部8か国への渡航制限が始まるなど、「デルタ株」騒動が落ち着きつつあった世界を再び緊張させている。もっとも「オミクロン株」の実態は、まだ解明されていない。「オミクロン株」の正体はともかくとして、そもそも「オミクロン」とは何か?

13番目の変異株なのに15番目のギリシャ文字?

新型コロナの変異株については、WHOがギリシャ文字を割り当てている。これは「武漢ウイルス」や「インド株」といった発生地名をつけることが風評被害や差別、偏見を生むことから、意味のないギリシャ文字を割り当てた。英語の「A株」「B株」「C株」や日本語の「イ株」「ロ株」「ハ株」のようなものだ。

「オミクロン」の表記は「Ο」。アルファベットの「O」やロシア語などで使われるキリル文字の「О」の起源となった文字だ。ギリシャ語では15番目の文字となる。ならば「オミクロン株」は15番目の変異種なのか?実はそうでない。

一般に「オミクロン株」や「デルタ株」のように一般に知られている株名は、WHOがつけた「ラベル」だ。ラベルをつけられていない変異株も存在するが、これがWHOが「注目すべき変異株(VOI)」や「監視すべき変異株(VUM)」に指定しなかったから。つまり、人類の脅威になる可能性が低いと「見切られた」変異株だ。

このようにWHOがラベルを付けた変異株は「オミクロン株」までに13株で、2株足りない。実は2つのラベルが「欠番」として飛ばされたのだ。それは「オミクロン」の直前の「クサイ(xi)」と「ニュー(nu)」だ。つまり「クサイ株」と「ニュー株」は存在しない。

中国への「過度な配慮」との批判もあるが…

このうち「ニュー」は英語の「新しい」と発音が似ているため、「ニュー株」では「新株」と誤解されやすいとしてスキップ。もう一つの「クサイ」は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の姓と同じ表記になるため避けたという。

米国の対中強硬派からは「中国への過度な配慮だ」との批判もあるが、コロナ禍の米国で日本人を含むアジア人が「コロナを拡散させた中国人め!」と襲撃される事件が相次いだ。そうした民族憎悪をかきたてかねない命名はよくないとのWHOの判断はもっともだろう。

「オミクロン株」で分かっていることは約50カ所の変異があり、そのうち30カ所以上がウイルス表面の突起部で人の細胞に入り込む「スパイク」というたんぱく質にあるという。そのため感染力が増す可能性がある。

南アでは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数が「オミクロン株」で1.93と、同国全体の1.47よりも高いと報告されている。だが、調査されたのはわずか77検体と少なく、実際の感染力がどれほどなのかは未知数だ。さらに従来のウイルスが効くのかなどの調査結果は、早くても12月中旬以降でなければ判明しないという。

VOIやVUMのうち、感染力や重症化する可能性が高いと判断された変異株が「懸念される変異株(VOC)」となる。これまでに「アルファ株」「ベータ株」「ガンマ株」「デルタ株」があり、11月26日に「オミクロン株」が加わった。まだ正体は分からないとはいえ、最大限の警戒が必要なことだけは間違いない。

文:M&A Online編集部