グルメンピックを企画した大東物産「破綻の構図」

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※画像はイメージです

キーマンの存在

昨年10月から大東物産の取材を続けていた東京商工リサーチでは、キーマンとみられるC氏と何回も接触を試みた。だが、過去にC氏が出入りしていた場所はいつも不在で、最終的には携帯電話も繋がらなくなった。
また、D氏の存在も浮かび上がってきた。D氏はイベントのノウハウなどを持つ人物で、「グルメンピック」の企画に関する役割を担っていたとみられる。
C氏やD氏、A社長は同世代で、同級生や友人などの関係かもしれない。だが、現社長のB氏との関係は掴めなかった。現社長は事情を説明されず社長に担ぎだされた可能性もあり、責任の所在は複雑化している。

「グルメンピック2017被害者の会」

出店料の返金を求めている債権者は、被害者の会を立ち上げた。被害者の会の代理人弁護士は、「1人あたりの被害額20万円と巧妙な価格設定で、単独では訴訟費用面や労力的にも難しい。入会していない被害者も含めて団結すれば、証拠の補完もできる。被害回復に最善を尽くしていきたい」と語る。
被害者の会の代表は、「グルメンピックの出店予定数を大幅に上回る募集を行ったことや、営業のための保健所への申請状況、出店料に含まれるテント、機材の契約など、本当に開催するつもりがあったとは思えない」と困惑しながらも疑問を示す。
そして、「突然の延期に戸惑う出店予定者が早くからSNSなどで情報交換を行い、団結することができた。代理人の弁護士と連携し、グルメンピックの責任者には返金だけでなく、刑事罰を求めていきたい」と話す。

508名の債権者

508名の出店予定者が債権者となった破産事件。休眠していた企業を安価で買い取っていたのが大東物産の実態だった。最後の社長は会社の経営をほとんど把握していないふしもうかがえる。明らかに「おかしい」と疑問は沸いても、「だますつもりはなかった」と言い張られるとその反証は容易でない。
商取引にはリスクがつきまとう。商業登記簿やホームページだけで会社を信じ、取引する危険性を再認識させる事件でもあった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年3月10日号掲載「破綻の構図」より再編加工)

東京商工リサーチ「データを読む」より

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