調査会社の東京商工リサーチは2016年4月、全国の支社店がまとめた地区ごとの倒産集計を取りまとめて分析した「2015年度(15年4月-16年3月) 全国企業倒産状況」 を発表した。その内容を見ると、直近の企業を取り巻く環境の変化をうかがうことができる。同社、情報本部情報部課長の増田和史氏に解説してもらった。前編はこちらから

―― 今回、25年ぶりに倒産件数が9000件を割りこんだとのことですが、今後の動向をどう見ていますか。これから倒産件数が増えていくのでしょうか。

 今は、統計的に見ても、倒産件数が少ない状況です。それこそ、バブル景気のころの、本当に全国的に景気がよかった時と同じくらいの倒産件数です。ただし、先ほど申し上げたように、実情は強いフックがあるというよりは、なんとか延命している企業がほとんどです。それを考えると、そろそろ件数は下げ止まり、底打ちといった状況になることも当然あると考えられます。16年度あたりから、増勢に転じることもあり得ます。

 ベンチマークとなる建設業に関して言えば、20年の東京五輪関連の需要はあるものの、都内を中心に地域が限られています。恩恵を受けない地方企業の格差が生じています。東日本大震災の復興についても、震災発生から5年が経って、ほぼ一巡し、需要もピークアウトしつつあります。

 さらに特筆すべきは、建設業における労働者不足、人手不足の問題です。建設業に就職しようとする若者の数が年々減っています。リーマン・ショックの時に人が辞めてそのままという企業も少なくありません。それが今、いざアベノミクスで仕事が増えた時に、人が足りないという状態になっています。労務費も上がっています。

 大手ゼネコンであれば、このような状況でも人の手配ができるでしょうが、中小・零細規模の建設会社は、これから厳しくなってくると思います。倒産件数も増えてくるのではないかと見ています。

 ところで、ここでもう一つお伝えしたいのは、倒産件数がこれだけ減っている一方で、倒産にカウントされない、休廃業したり解散したりする企業がとても多いことです。当社では「休廃業・解散企業」の動向調査も行っています。15年度の休廃業・解散件数は2万6699件(前年比2.4%減)で、2年連続で前年を下回ったものの、リーマン・ショック後の09年以降、2万5000件以上の高水準で推移しています。倒産件数の約3倍もの企業が、休廃業・解散しているのです。

―― 後継者不足から事業継続を断念する企業も少なくありません。課題解決の一つとしてM&Aを選択するケースもあります。M&Aは昨年取引額が史上最高を示すなど活況を呈しています。倒産の減少傾向とM&Aの間に因果関係はありますか。