スタンダードチャータード銀行東京支店とスタンダードチャータード証券(日本法人)の2社体制で金融サービスを展開しています。銀行業務は長い歴史があるのに対し、証券業務については2016年7月に日本法人設立して本格的にスタートしたばかり。それまではスタンダードチャーター銀行東京支店が証券業務の一部を手がける「登録金融機関」として、ごく限られた範囲での活動にとどまっていました。
スタンダードチャータードの持ち味は何といってもアジア、アフリカ、中東の先駆者として各国の多様なビジネスカルチャーを知り尽くしていること。高い潜在成長力が期待されるエマージング市場をめぐっては日本企業の進出も活発化しています。もともと、旧植民地での貿易取引や事業活動を行う英国企業を金融面からサポートするのを目的にスタートした歴史があるだけに、これから進出しようという企業にとって頼りになるパートナーといえそうです。
アジアやアフリカ、中東に進出する事業法人に対して融資、外国為替、資金管理、リスク管理など銀行業務全般を展開。また、金融機関など機関投資家には現地で組成した金融商品を提供し、様々な投資ニーズにこたえています。
個人向け業務(リテール)では、都内に専用の支店を設けて富裕層向けのプライベートバンキング(PB)業務を一時手がけましたが、2012年に撤退しました。1400兆円に上る日本の個人金融資産を取り込むのが狙いでした。同じ頃、ライバルの香港上海銀行もPB業務から手を引きました。
スタンダードチャータードは商業銀行業務の中でも、その成り立ちから特に貿易金融や国際決済といった資金管理業務を中核事業としてきました。このため、伝統的にM&A仲介などの投資銀行を志向するスタンスはとっていません。ただ、日本でも証券会社を設立したことから、今後、M&A関連のサービスの充実に動く可能性はありそうです。
文:M&A Online編集部