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日大副学長の理事長パワハラ提訴、企業の取締役同士ならどうなる

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薬物問題が上層部のパワハラ問題を引き起こした日本大学(同大ホームページより)

理事長・大学側から反訴の可能性も

パワハラ慰謝料の判断にしても、リョーユーパンのパワハラでは会長が社長に対して会議の席で人格を否定する罵倒を繰り返しているが、報道によると日大の場合は理事長と副学長の個人面談であり、激しい人格否定をしているわけではない。

理事長が副学長に辞任を求める背景には、日大の権威失墜や補助金打ち切りという大きな損害をもたらした違法薬物事件への副学長の不適切な対応があった。これは理事長の独断ではなく、第三者委員会が副学長の行動について「大麻の可能性が高い植物片を見つけながら12日間、警察に報告しなかった」ことを問題視している。

そのため裁判で理事長のパワハラが認められたとしても、リョーユーパンほどの違法性はないと判断されることになりそうだ。損害賠償額は100万円を下回るだろう。

一方で理事長側が「反撃訴訟」に出る可能性もある。日本私立学校振興・共済事業団が日大に3年連続で経常費補助金(私学助成)を支給しないと決めた根拠として、副学長から理事や警視庁への報告が遅れるなど法人内部の情報伝達がうまくいっていないことを挙げている。

こうした事実をもとに、理事長や大学が副学長に対して損害賠償訴訟を起こすこともありうる。一般企業では取締役には善管注意義務があり、故意または過失により委任者である会社に損害を与えた場合は損害賠償義務を負う。会社役員に相当する副学長においても同様の義務が課せられている。

副学長がそうした義務履行を怠り、大学に多大な損害を与えたという訴えだ。ただ、取締役の善管注意義務違反の立証も複雑で、一筋縄ではいかない。係争の長期化は双方にとってメリットが少ない。反撃訴訟があったとしても、理事長と副学長の双方で和解の道を探ることになるだろう。

文:M&A Online

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