1964年10月、近鉄は信貴生駒電鉄を合併した。合併比率は1:1で、近鉄は信貴生駒電鉄の資本金と同額の4880万円を増資した。信貴生駒電鉄は、1919年12月に信貴生駒電気鉄道として設立され、信貴山朝護孫子寺への参拝の便をはかるとともに、奈良盆地を縦断する地方交通機関として発展してきた。
信貴生駒電鉄は、戦時期の1941年4月に近鉄の前身会社である関西急行鉄道の傘下に入り、戦後の1961年10月には、1925年4月に大阪電気軌道の傘下に入った大和鉄道を合併していた...
資本統合を繰り返しながら路線距離が日本最大となった大手私鉄・近畿日本鉄道。戦時統合で誕生した関西の小さな鉄路(大阪電気軌道=奈良軌道)が、他の私鉄に出遅れながらも豊富な路線網のもと需要を取り込んで拡大していく過程を、2回に分けて追いかける。