高度経済成長期の資本統合を見ていこう。近鉄は、1963年10月に、奈良電気鉄道を合併した。1964年10月には第18回オリンピック東京大会が開催され、東海道新幹線が開業するので、ちょうどその1年前ということになる。
奈良電気鉄道は、1925年5月に設立され、28年11月に京都~西大寺間の運輸営業を開始した。奈良電気鉄道には、近鉄の前身会社である大阪電気軌道が設立当初から資本参加し、相互乗り入れなどを実施してきた...
資本統合を繰り返しながら路線距離が日本最大となった大手私鉄・近畿日本鉄道。戦時統合で誕生した関西の小さな鉄路(大阪電気軌道=奈良軌道)が、他の私鉄に出遅れながらも豊富な路線網のもと需要を取り込んで拡大していく過程を、2回に分けて追いかける。