デジタル革新のスピードが加速する中で、部長職に求められる役割が大きく変わってきています。
従来の「上級管理職」という位置づけから、「部門経営者」へ。この部長職の位置付けの転換こそが、変化の激しい現代を生き抜く組織の鍵となります。では、なぜ今、部長職に経営者としての視座が求められるのでしょうか。
そして、具体的にどのような能力を身に付ければよいのでしょうか。
デジタル技術の進歩により、事業の入れ替えサイクルは劇的に短くなっています。かつて10年、20年続いた事業モデルが、今では数年で陳腐化するケースも珍しくありません。この環境変化が、部長職に求められる役割にも変化を求めています。
従来であれば、既存の事業を効率的に運営し、成長させていくことが部長の主たる役割でした。しかし現在では、既存事業の維持・成長と並行して、常に次の事業機会を模索し続けることが求められています。つまり、現代の部長職には「今」と「未来」の両方に責任を持つ「経営者としての視点」が不可欠となっているのです。
「両利きの経営」とは、既存事業の深化(Exploitation)と新規事業の探索(Exploration)を同時に行う経営手法です。では、部長職がこの概念を理解し実践することが、なぜ重要なのでしょうか。
既存事業の維持・成長は、従来から部長に求められる重要な役割でしたが、両利きの経営を意識した既存事業運営においては、安定収益の基盤を築き、新規事業のための原資を稼ぐ、という意図をもって行うことが重要になります。当然、そこで重要になるのが「デジタル活用」であり、業務の効率化やデータ活用を通じて既存事業の競争力を高めることが求められます。
一方で、市場環境の変化を敏感に捉え、新たな事業機会を探索していくことが部長職の新たな重要ミッションとなります。部門が持つリソースや強みを活かしながら、「デジタル」という新たな要素を加えてイノベーティブな価値提案を構想する力が必要となります。
変化の時代の部長には、デジタル化によって生まれる新たな顧客ニーズや市場機会を素早く察知し、それを自部門の事業機会として捉える構想力が求められます。これは単なる市場分析ではなく、自部門の強みと市場機会を結び付ける創造的思考力です。
構想を実現するのは「人」です。部長は、メンバーの多様な能力を最大限に引き出し、イノベーション創出につなげるマネジメント力を身に付ける必要があります。これには、適材適所の配置や成長機会の提供、多様性を活かすチームビルディングが含まれます。
変化の激しい環境では、完璧な情報が揃うのを待っていては機会を逃してしまいます。部長には、限られた情報の中でも迅速かつ的確な判断を下し、必要に応じて軌道修正を行う意思決定力が求められます。
現代の部長職は、従来の管理業務を超えて、真の「部門経営者」として機能することが求められています。既存事業の成長と新規事業の創出を両立させる「両利きの経営」の実践こそが、変化の激しいデジタル時代を勝ち抜く組織づくりの核心なのです。
株式会社インソース より
【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック