それでは、コミュニケーションを活発にして信頼関係を築くにはどうすればよいのでしょうか。次の章では若手世代を知る一助として、仕事観や理想の上司像について簡単に触れます。
関連記事はこちら
・若手世代とのコミュニケーションの取り方~適切なコンフリクト(衝突)で組織を活性化させる(前編)
失われた20年あるいは30年ともいわれる現在、若手は不景気のなかをずっと生きてきた世代ともいえるでしょう。 「ゆとり教育」とも言われた脱詰め込み教育や少子化による生産年齢人口の減少により若手に有利な労働市場となっていることもあり、競争が緩やかな世代であるといえます。
また、この世代は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、子どもの頃から携帯電話に接している世代です。世界とつながるインターネットにより情報を簡単に取得できるようになった反面、SNSでつながるコミュニティは同世代であったり、自分と同じような意見をもつ人だけであったりと狭いものとなりがちです。 SNSを用いたコミュニケーションは文字中心となることが多いため、いざ対面でとなるとうまく話せないというケースも聞かれます。
若手世代の仕事観として、「やりがい」や「楽しく働くこと」を重視する傾向があります。出世やお金に関心の薄いこの世代はマイペースに仕事を進めがちといわれます。 「楽しく」という点とも関係しますが、若手は上司の方の思っている以上に職場の雰囲気というものを大切にしています。場の空気を読んで自分の意見を言わないというケースも十分に考えられます。
叱られることに慣れていないことも特徴といえます。先ほど述べた「ゆとり教育」で個性を伸ばすことが良いとされ、常に肯定されて育ってきたことが背景としてあるようです。 そのため、言われた通りに実行すれば叱られないという発想から、いわゆる「指示待ち」の状態となる人も多く、目立つと叩かれるという思いから「模範解答」に終始してしまうことも多いでしょう。自分の意見を言わない、ということは自分の身を守る防御反応といえるかもしれません。
「指示待ち」という話をしましたが、若手は上司に対して「育ててくれる」「助けてくれる」存在であると思っている人が多いと言います。 一方で、上司にあたる年齢層では、もっと主体的・自律的に行動してほしいと感じているようです。
コンフリクト・マネジメントの考え方で重要なことは、若手にとっての理想の上司像に合わせなくてはならないと「妥協」したり、そんなことは私とは関係ないと「回避」したりするのではなく、若手に理想とのギャップを伝えて協調的にそのギャップを埋めていくことです。そのために必要なことは、やはりコミュニケーションと信頼関係なのです。 そこで、次の章では若手とのコンフリクトを組織の活性化につなげるチームづくりについて考えます。
組織内でのコミュニケーションを活発にするための方法の一つに「チームビルディング」というものがあります。自分の潜在的な思いを示しながら、お互いの主張をぶつけていくことで、自己理解・他者理解を深めていきます。
チームビルディングとは文字通り「チームを築き上げていく」ということですが、そのためにはチーム全体で目的意識を共有し、信頼関係を構築して、若手でもベテラン層でも自分の意見を言い合える環境をつくることが求められます。
立場は異なっても、「自分を含めた一人ひとりがチームを動かしている」という当事者意識を共有することが不可欠です。そのためにはチーム全体で対話を重ねる必要がありますが、日々の業務を遂行するなかで、対話も並行して進めるとなるとかなりの時間を要します。 この時間を短縮する方法として、レゴ®ブロックを用いたワークショップについてご紹介します。
レゴ®ブロックは子どもの頃、一度は遊んだことがあるおもちゃで、最近ではテーマパークも人気を博していることはご存じの方も多いのではないでしょうか。 そんなおもちゃで何ができるのかと思われるかもしれませんが、ブロックという「モノ」を通して、自分の考えを目に見える形で表現することができます。
このように、ワークショップ形式で集中的にチームビルディングを行うことで、比較的短期間でお互いに意見の言い合える心理的安全性の高いチームをつくることができます。
若手世代とのコミュニケーションの取り方ということで、コンフリクト・マネジメントやチームビルディングの手法についてご紹介しました。
チームで仕事を進めるときに重要なことは、意見の衝突があっても衝突を回避するのではなく上手くぶつかりあって協調的な解決策を見出していくことです。
意見を出し合える環境をつくるきっかけとしてチームビルディングを行うのであって、それ自体が目的とならないよう留意する必要があるでしょう。
株式会社インソース より
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック