厚生労働省があげる代表的なハラスメントの類型にはあてはまらなくとも、相手にしてみればハラスメントと感じる場合があります。職場でありがちなやり取りの中から、ハラスメントグレーゾーンのケースをご紹介する後編です。
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・「これってパワハラ?」 ~現場で悩みがちなハラスメントのグレーゾーン特集!(前編)
職場内の優位性を背景に、業務上明らかに不要なことを要求するのは、「過大な要求」というパワハラにあたります。また、部下が私的な休日を過ごす権利を妨害したという点において「個の侵害」とみなされる可能性もあります。
「部下とは公私ともに親密な関係を築いている。草取りも部下自ら申し出てくれたからお願いしただけ。強要したつもりはない......」
本当に親密な関係が築けているなら、上司から私的な頼みごとを受けることも、部下にとってやぶさかではないでしょう。しかし、気軽に声をかける前にいま一度部下の視点に立ち、上司の頼みを断ることができない部下に"空気を読ませていないか"考えてみることも必要です。
「妊娠していたら本人も遠出はしたくないだろう」と決めつけ、出張をさせな かったり、業務から外したりすることは、妊娠・出産等を理由とする不利益な取扱い、すなわちマタニティハラスメント(マタハラ)と受け取られる可能性があります。
妊娠中の健康管理が大切なのはいうまでもありませんが、安静が必要なのか、 それとも普段と変わりなく過ごせるのかは、個人差があります。自分の部下はどのレベルまで業務を行えるのか、本人ともよく相談したうえで能力に見合った仕事が継続できるよう、本人はもちろん周囲のメンバーにまで目を配るのが、上司としての"真の配慮"です。
また、職場復帰したワーキングマザーに対して、「子どもを預けて働くなんて、 子どもに寂しい思いをさせてない?」と訊くのは、たとえ善意から発言しているつもりでもマタハラと捉えられる可能性があります。「預けられている子どもがかわいそう」という価値観の押し付けはくれぐれも禁物です。
このように立場も価値観も異なる部下は、上司が何気なく発した一言を「苦痛」 と感じるケースが少なくありません。ハラスメントと捉えられてしまうリスクがないか、常に部下の立場で考えるマインドを管理職層に醸成することは、 組織のハラスメント防止策として最も効果的です。
そのうえで、人事担当者が留意すべき点は、社員が違和感や不快感を感じ た時に、その感情を一人で抱え込まずにいられる組織をつくることです。日頃から何かあった時に相談をしやすい人間関係が形成され、円滑なコミュニケーションが成立している「風通しのよい職場」を実現することが極めて重要です。
加えて、職場の人間関係以外にも、ハラスメントが起こりやすくなる問題が潜んでいる場合があります。
【問題】高い必達目標のためにメンバーが日常的にストレスを抱えている
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【改善策】生産性を上げて現場の負荷を軽減することでストレスをなくす
【問題】現場の所属長にあらゆる権限が集中しており、職場環境が閉鎖的
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【改善策】組織の構造を見直すとともに、部署をまたいでメンバーを集めるプロジェクトチームのような活動を活性化させ、組織横断的なコミュニケーションを促進する
すべての社員にとって働きやすい職場づくりを実現し、ハラスメント防止につなげるためには、人事や管理職の働きがカギを握っています!
株式会社インソース より
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