ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

首都圏廃線物語 かつて西武鉄道が所有した休止線、廃線を訪ねて

alt
西武安比奈線マップ
地図中の番号は撮影地

01

東京西郊を走る私鉄、西武新宿線(西武新宿〜本川越間)の終点に近い南大塚駅(写真右上に本川越駅ホームが見える)。西武新宿駅からは急行で小一時間かかり、安比奈線はここから分岐する。ただしホーム脇で、一端レールは途切れている。


02

本線から離れたところで、ふたたびレールは復活。枕木もコンクリート製で、廃線(休止線)とは思えない。本線(写真右上)は北東へ向かうが、安比奈線は大きく左カーブして北西の入間川河畔を目指す。

 

03

路線はいきなり住宅街に入り、マンションの裏手を行く。夏場は、雑草が生い茂ってレールは隠れてしまうが、秋から冬にかけてはレールもはっきり露出し、廃線めぐりにはうれしい季節である。

 

04

片側2車線の国道16号線を横切る。平行する2本のレールが吸い込まれるように舗装道路のなかに消える。   


  

05

国道16号との交差部分が、かつては踏切になっていたことがわかる。アスファルトが上塗りされているかのように道路面が盛り上がっているが、その下はレールが健在で道路を横切っているのだろう。想像するだけでわくわくする。


06

国道を越えて路線はそのまま延びる。ちょっとした現役の地方私鉄のような趣である。列車が走らなくなって四十数年経つにしてはしっかりとしているが、最低限の管理が行なわれるのだろう。

 

07

家々の裏手を縫うようにして路線が延びる。比較的新しい建て売り住宅が並んでいるが、つい最近までは、一帯が広い野原だったことをうかがわせる。


08

住宅の裏手を走っている、いまはうち捨てられた路線——ここは、ガーデニングのバックヤードと化していた。処分された枯れかけの草花がドライフラワーのようになり、風に吹かれてかさかさと鳴っている。


09

真っ直ぐに敷かれたレール。南大塚駅方面から歩いてきて振り返り、望遠レンズで写したもので、手前が入間川方向。前方は国道16号線を越えて南大塚駅へ至る。

 

10

入間川街道と呼ばれる旧国道16号線を横切る安比奈線。鉄道路線に沿ってよく見かけるコンクリート柵が、ここでは道路沿いに立つという奇妙な光景。

 

11

小さい道路との交差点では、路盤をアスファルトで埋めただけのところが多く、踏切のようにレールが見える。しかし、注意していないと、ここで鉄道と交差していることに気づかないのではないだろうか。

 

12

前方の畑地に向かい、ここからは築堤の上に路線が敷かれている。小さな流れが蜘蛛の巣状に広がる一帯だ。枕木は朽ち果てていて、とても乗る気にはならない。頭上には依然として架線がピンと張られている。


13

赤さびの浮き出た橋梁。上方に架線が張られているのがわかる。ここも、廃線(休止線)とはとても思えない雰囲気である。


14

橋梁の内側を見上げてみる。プレートガーダー橋と呼ばれる橋梁の構造がよくわかる。もしここで頭上を列車が通過したら、騒音で鼓膜が破れてしまいそうだ。そんなはずがないのに、つい首をすくめてしまう。

 

15

まだまだ頑丈そうな橋梁。枕木が意外に朽ちていないが、このあたりは補修されているからであろう。頭上の架線もそうだが、四十数年も放置され風雨にさらされていればもっと荒れているはず。

   

16

全路線3.2キロの半ばほどからは、林のなかを進む。枕木こそ埋もれてしまっているが、レールはしっかりと残っている。いまにも列車が後ろから迫ってきて、警笛を鳴らされそうな錯覚に陥る。



17

林のなかにかかる橋梁。短いが周囲の木々とマッチしてとてもよい雰囲気を出している。この一帯は、2009年のNHK朝の連続ドラマ「つばさ」のロケ地となったところ。その後、ロケ地めぐりのイベントのために整備され、この橋梁も現在は補強されたり遊歩道化されているため、少し興ざめだ。


18

四十数年という歳月を物語るように、線路際で枝葉を大きく広げた樹木。



19

時代を感じさせる木製の架線柱。全線の半分以上の区間に、こうした架線柱は健在だ。碍子も割れずに残っている。



20

レールを枕木に固定する犬釘。それにあらがって、下からレールを持ち上げる木の根っこ。レールは数センチも浮き上がっている。線路際の柵は一部区間だけ新しいが、遊歩道化された際に立てられたもの。


21

入間川に新規に架けられた八瀬大橋の取りつけ道路のところで、はじめて線路が途切れる。一見するとここで終わりのように思うが、道路の反対側でまだ線路が延びている。


22

入間川沿いの広大な川原。この一帯に、川砂利の積み込み作業の行なわれた安比奈貨物駅があったのだろう。線路はほとんど埋まってしまい、露出しているところでも、1本が継ぎ目のところで内側に折れ曲がったりしている。


23

「安比奈新田」と呼ばれているあたり。この辺から先に、当時は何本も線路が分岐していくところ。安比奈貨物駅への入り口だ。線路は、しだいに埋もれていく。


24

終点の安比奈貨物駅があった一帯を、対岸から見晴らす。手前の川が入間川で、遠く富士の峰が望まれる。この川で採取した砂利を積み込んでいたのだが、その片鱗すら残っておらず、河岸全体が広い空き地として放置されている。



NEXT STORY

西武鉄道の成立 武蔵野の台地に王国を築いた堤康次郎(後編)

西武鉄道の成立 武蔵野の台地に王国を築いた堤康次郎(後編)

2018/05/27

鉄道王・堤康次郎が武蔵野鉄道の支配に乗り出した。武蔵野鉄道の大株主となった堤は、配下の者を経営陣として送り込み、武蔵野鉄道の経営再建に乗り出す。ともかくも成功を収めた堤は、前編で述べた「旧西武鉄道」との競合・対立を、合併によって乗り越えた。