「西武安比奈線」——。西武新宿線の南大塚駅から分岐している路線である。「分岐していた」と書かないのは、実はこの安比奈線、最近まで廃線ではなく「休止線」ということだったからだ。だが、「休刊」になった雑誌がもう二度と日の目を見ることがないように、安比奈線も朽ち果てていく一方だ。
2010年代前半、全長3.2キロの大半には、しっかりとレールが敷かれたままになっていて、思いはいやが応にもありし日の列車の走りにいたる...
鉄道王・堤康次郎が武蔵野鉄道の支配に乗り出した。武蔵野鉄道の大株主となった堤は、配下の者を経営陣として送り込み、武蔵野鉄道の経営再建に乗り出す。ともかくも成功を収めた堤は、前編で述べた「旧西武鉄道」との競合・対立を、合併によって乗り越えた。