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「介護事業の守り人」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Onlineがおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「介護事業の守り人」 田畑陽一郎著、幻冬舎刊

資金難、人材不足、経営者の高齢化…。業界を問わず、多くの中小企業に共通する経営課題だ。介護も例外ではなく、近年、廃業・倒産がじわじわと広がっている。ではどうやって介護事業を守っていくのか。著者は自身の経験をもとにM&Aを活用した事業承継の重要性を訴える。

介護事業の守り人

東京商工リサーチの調べによると、介護事業所の倒産数は2016年に年間100件を突破して以降、高止まりし、2022年は143件(前年比76%)と過去最多となった。著者は倒産の大きな理由の一つに介護報酬が低いことによる経営の悪循環を指摘する。

介護報酬が低いため従業員の給与水準を上げることができず、スタッフの採用もままならない。人手が不足した施設ではサービスの質が低下し、入居者は減っていき、施設の資金繰りが苦しくなる。こうした負のスパイラルによって行き詰まる事業所が後を絶たないというのだ。

著者は長年、医師と経営者の二足の草鞋を履いてきた。1991年に千葉県に人工透析を専門とするクリニックを開業し、現在、11カ所の医療施設と16カ所の介護施設を運営する。

M&Aに関しては医療事業で廃業寸前の病院を傘下に収めるなど経験を積んできたが、介護事業では5年前、著者73歳の時に初めて手がけた。親から引き継いだ30年の業歴を持つ介護施設を運営する知り合いからSOSが寄せられたのがきっかけだった。

その時に提案したのがM&Aという方法。事業を続けていくか、それとも畳むのかの二択の間を苦しんでいた知り合いにとって、新たな選択肢だった。入居者の生活やスタッフの雇用、本人の今後の生活も守れることが事業譲渡の決め手になったという。

本書では、資金難、人材不足、後継者不在の3つのケースを取り上げ、それぞれどのような思いで買収を決意し、事業承継を成功に導いたのか、その道筋がつづられている。(2023年2月発売)

文:M&A Online

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