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『決算書×ビジネスモデル大全』|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Onlineがおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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『決算書×ビジネスモデル大全』矢部 謙介 著、東洋経済新報社 刊

企業の「通知表」である決算書。とはいえ、決算書の数字だけを見ても読めるようにはならない。著者は決算書が読めるようになるには、その会社が手掛けているビジネスに対する理解が必要不可欠であり、「決算書×ビジネスモデル」の視点を持つことが重要だと指摘する。

筆者の矢部謙介中京大学国際学部教授は、経営コンサルタント出身。現在はM&Aの企業価値向上効果の研究に取り組む。本書では41社の上場企業の事例(決算書)を取り上げ、各企業のビジネスモデルや経営戦略上の着目点などを解説している。

決算書×ビジネスモデル大全

例えば、M&A関連では、
・M&AによってCF(キャッシュフロー)はどう動くか
・サワイグループHDと東和薬品がM&Aを積極的に行う背景とは
・富士フイルムHDの事業構造改革
・日立グループの事業再編
・ルネサスが行った事業構造改革の成果と抱えるリスク
・海外M&Aでグローバル化したJTが抱えるウクライナ侵攻リスク
などのテーマを取り上げ、ビジネスパーソンにはハードルの高い内容を、比較縮尺図(グラフ)を使用しながら視覚的アプローチで理解できるよう工夫した。

同業比較分析では飲料メーカーやカフェ・レストラン、ビール会社といった生活に身近な企業を中心に取り上げることで、とっつきにくさを軽減している。

経営改革や国際分業、粉飾決算など会計初心者にはやや難解な論点もあるが、そこは前書「決算書の比較図鑑」が3万部を超えるベストセラーとなった著者だけのことはある。手に取りやすい構成で、本書も発売1週間で早くも重版が決定したそうだ。

簿記や会計について学んでみたものの未だに決算書が読めないという人や会計数字に苦手意識を持つビジネスパーソン、さらには就職・転職活動先の経営状況を知りたい学生や転職希望者などには格好の1冊となるだろう。(2023年6月発売)

文:M&A Online

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