つまり、この有償ストックオプションは割当者にとって、下記の意味があることとなります。
・ストックオプションの割当時に13円/株の払込が必要
・払込を行うと、ウェルネット株式会社の株を1,322円で取得可能になる
・よって、将来株価が上がった時(例えば1,500円/株になった時)に行使・譲渡すれば、178円/株(1,500円/株 - 1,322円/株)の譲渡益が得られる(譲渡益には20.315%の所得税しか課税されない)
・ただし、ノックアウト条項に抵触した場合、ストックオプションを行使できるとは限らない。
有償ストックオプションには上記のようにノックアウト条項が付されることが通常であり、将来における行使の確実性が担保されないため低い価額(1円/株)で発行可能となります。(有償ストックオプションの発行自体はあくまでストックオプションの公正価値発行のため、取締役会決議による発行が可能)
なお、ウェルネット株式会社の直近期(2016年6月期)の経常利益の額は2,007百万円程度です。
今回発行の新株予約権を行使するためには、少なくとも経常利益が3,000百万円を超える必要があるため、ノックアウト条項としては厳しく、また、それゆえに13円/株という極めて低い価格での発行が可能となります。
文:株式会社Stand by Cホームページ 事例研究(2016.09)より転載
M&Aに必須のPPA(Purchase Price Allocation)について、実務経験が豊富な会計士が留意すべき点について解説します。