独立独歩な地域密着策

大分銀行は、最近になっても、県外大都市で融資額を伸ばす戦略ではなく、より地域に根ざした金融機関をめざしていくことに徹している。前頭取である姫野昌治氏は「就任から6年間で東京の大企業向け融資を減らし、地元企業向けを増やす地域密着化戦略を推し進めてきた。地元中小企業向けの融資比率は6割を切るところから約64%まで回復。相対的に金利の高い融資が増えた結果、他行と比べて貸出金利が下げ止まるなど数字に表れ始めた」とし(2016/2/23、日本経済新聞より)、現頭取の後藤富一郎氏も「姫野頭取の打ち出した地域密着化戦略を高度化する」(同)としている。

 その地域密着化のうちユニークなものをいくつか挙げていこう。

約10年、大銀ドームとして親しまれた大分スポーツ公園総合競技場(tokomaru7 / PIXTA)

まず、大分銀行は大分スポーツ公園にある総合競技場の命名権を2010年に取得し、大銀ドームという名称を使っていた(2019年3月には昭和電工に命名権が移り、「昭和電工ドーム大分」となる)。ここはJリーグ・大分トリニータの本拠地である。

また、大分銀行の旧本店である赤レンガ館(トップ画像参照)を活かした広報活動もユニークだ。赤レンガ館は、二十三銀行の本店として1910年に建造され、のちに大分銀行本店として1966年まで使用されていた。そして、その後、大分銀行赤レンガ支店、ローンプラザ支店などとして活用された、市内に残る唯一の明治の洋風建築物である。

その赤レンガ館を地域活性の新拠点として活用する目的でリニューアルし、2018年に新規オープンした。館内には、大分銀行も出資した地域商社であるOita Made株式会社のショップがあり、大分の県産品が販売されている。

そして、大分銀行は赤レンガ舘のリニューアルオープンに先立って、宗麟館という地域密着型金融を実現する拠点ビルを建築・オープンしている。建築デザインは、JRおおいたシティや「ななつ星」のデザイナーとして知られる水戸岡鋭治氏。5階建てのビルは法人・個人、さらに保険の対応のほか、ビジネスマッチング、イベント、創業支援を行うスペース、多目的スペースなどがフロアごとに分かれ、大銀経済経営研究所が入居している。

「法人・個人すべてのお客さまのあらゆる相談に応えるワンストップチャネルの機能性を発揮し、地域活性化に資する『大分市中心部の賑わい創出』や『大分県各地域の情報発信』『事業者のビジネス支援活動』など、さまざまな取組みを行っていく」(大分銀行ホームページより)という。

九州の地方銀行には大きな3つのグループがある。最大手が福岡銀行、親和銀行、熊本銀行に、長崎の十八銀行が加わった「ふくおかフィナンシャルグループ」、次いで西日本シティ銀行と長崎銀行がグループ子会社となった「西日本フィナンシャルホールディングス」、そして肥後銀行と鹿児島銀行とが経営統合して誕生した「九州フィナンシャルグループ」である。

これらに、2019年の年初時点で大分銀行は属してはいない。大分銀行が他の地銀と連携しているのは、九州地銀10行により2008年からスタートした九州ATMネットワークくらいである。まさに大分銀行の地域密着策は独立独歩の趣がある。