スキー場再生の日本駐車場開発 1円で買った那須ハイランドを早くも収益化へ

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那須ロープウェーからの眺め

ガンダムやプロレスで集客 

 こうした経験を活かして、那須ハイランドパークの買収後は、まずアルバイト社員を正社員化するなどして運営体制を強化。「機動戦士ガンダム」などの知名度の高いキャラクターを生かしたイベントやプロレスをテーマにした展示イベントなどを開催して集客に努めた。結果、今年8-10月に20万4000人が来場し、11億9700万円を売り上げた。これは期初の通期予想(29億円)の4割強に相当する。

 ハイシーズンの夏場は好調な滑り出しとなったが、真価が問われるのはこれから。同社は、園内に100~150万球のイルミネーションを新たに設置し、これまで不稼働だった冬季期間も営業を始める。来年3月には「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪たちと迫力のレースを3D映像で体感できる新たなアトラクションを投入する計画だ。

 日本テーマパーク開発は、テーマパーク自体の再生だけでなく、周辺の別荘を利用した事業や、別荘に付随する水道事業への参入も視野に入れる。別荘の多くはバブルの時代につくられたが、不稼働なものも多い。同社は駐車場ビジネスで培ったノウハウを活かして、こうした不稼働の不動産の活用も進めていく考えだ。

 テーマパークの魅力向上によって、那須エリアを訪れる日本人や外国人の観光客が増えれば、別荘やコテージなどの宿泊施設の稼働率も高まり、最終的に水道事業の需要も増える――。同社が描くのはこんな青写真だ。成功すれば、地域の雇用や税収が増え、M&Aを通じた地方創生の新たなモデルとなる。

 しかも、スキー事業が拡大するにつれて冬場に収益が偏りがちだった日本駐車場開発にとって、テーマパーク事業が起動に乗れば、連結グループでみて通年で安定して稼げる収益体質を築けることになる。まさに一石二鳥のM&A。事故の直後とはいえ、これを1円で取得できたわけだから、日本駐車場開発はとてもいい買い物をしたと言えそうだ。

文:M&A Online編集部

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