もの言う株主からファンドの運用手数料に依存していると批判されたFVCとは

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H.I.F.詐欺事件への開示姿勢も問題視

マンティス・アクティビスト投資1号が問題視したのが、このビジネスモデル。事業モデルの問題点を3つ挙げています。

①ファンド数の多さ:ファンドごとに出資者への募集営業、組成、定期報告、問い合わせ対応などに労力がかかり、労働集約的なモデルとなってしまうために案件発掘に注力できない
②投資領域の狭さ:各ファンドの地域、投資対象が限られており、勝ち目が薄く、狭すぎる
③手数料への依存:ベンチャーキャピタルの至上命題である市場平均を超過するリターンを得るという使命を全うしていない

フューチャーベンチャーキャピタルはホームラン狙いのフロー型ビジネスを抜け、収益を積み上げ型にシフトしようとしています。しかし、マンティス・アクティビスト投資1号は市場平均を超える「投資アルファ」に注力すべきだと批判しています。

マンティス・アクティビスト投資1号はフューチャーベンチャーキャピタルのビジネスモデルが抱える問題点の解決策を3つ挙げています。

①細分化モデルの決別:ファンド数を10本未満に集約する
②投資領域の拡大:地方銀行とのパイプを生かした事業再生投資などへと投資領域を拡大する
③リターン重視の原点回帰:高投資倍率を狙う投資会社への変革を図る

選任を求めた取締役候補者2名は、金武偉氏と金子正裕氏。金武偉氏はゴールドマン・サックス、JPモルガン証券、ユニゾン・キャピタルなどで投資経験を積んでいます。金子正裕氏はダスキンの事業本部長、出前館の取締役などを務めてきました。候補者2名を業務執行の中心に据え、改革を推進したい考えです。

また、金武偉氏はフューチャーベンチャーキャピタルの開示姿勢にも疑問を呈しています。フューチャーベンチャーキャピタルは2020年2月にH.I.F(東京都新宿区)のMBO(経営陣による買収)を支援する目的で3億円を出資しています。H.I.Fはエイチ・アイ・エス<9603>の連結子会社で、企業間決済サービスを提供していました。売掛債権を売買するファクタリングの会社です。

H.I.F.は投資実行直後の2020年2月に詐欺被害にあいます。イベント企画会社INI(東京都台東区)が実在しない売掛債権を売却し、3億4,600万円を騙し取ったのです。架空債券の売買は100件を超えており、総額45億円にも及ぶ巨額詐欺事件でした。イベント会社社長は2020年12月に逮捕されています。

フューチャーベンチャーキャピタルは2020年6月に3億円の減損損失を公表。しかし、それがH.I.Fによるものであることが株主には明かされていませんでした。

マンティス・アクティビスト投資1号は開示姿勢が不十分でモニタリングの強化が必要だとし、監査役3名の選任を求めました。

フューチャーベンチャーキャピタルはこの株主提案に反対しました。同社の定時株主総会は6月。その内容に注目が集まります。

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