コロナ禍の中、2020年のIT・ソフトウエア業界のM&Aは活発に推移した。デジタル技術によって業務やビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が底流にあり、コロナ禍を打ち消した格好だ。
2020年11月のM&A件数は前年同月比5件減の81件となり、4カ月連続で前年を下回った。ただ、11月として過去10年で最多だった前年に次ぐ高水準。月間80件を超えるのは「コロナ禍」初期の3月以来で、件数面での腰折れ懸念はひとまず払拭した。
2020年11月20日、三井住友ファイナンス&リースが不動産投資信託(J-REIT)のケネディクスに対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。業種を問わず「苦しい時には不動産会社が買収される」と言われるが本当か?
敵対的TOB(株式公開買い付け)が今年、13年ぶりの高水準で推移中だ。1月からの累計は5件となり「ブルドックソース事件」が起きた2007年と並ぶ。「新型コロナ」下、TOB戦線に異変が起きているのか。
2020年の上場企業におけるMBO(経営陣による買収)が10件に達し、9年ぶりに2ケタに乗せた。いずれも株式の非公開化を目的とし、上場企業の看板を返上する決断だ。究極の買収防衛策ともいわれるMBOが再び増えているのには理由があるのだろうか?
2020年10月のM&A件数は前年同月比5件減の69件となり、3カ月連続で前年を下回った。1~10月の累計は前年を超えるペースを維持しているのの、コロナ禍の出口が見通せない中、停滞感が否めない。ホームセンターの島忠を巡る買収合戦も勃発した。
TOB件数は前年同期よりも3件、今第2四半期よりも3件多い12件。第3四半期としては2010年以降の11年間では2011年の21件、2016年の14件に次ぐ3番目(2010年、2018年と同件数)の水準だった。第1-3四半期累計では36件。
2020年第3四半期の日本関連M&A公表案件は21.4兆円と前年同期から56%増加し1980年の集計開始以来歴代2位の規模となった。全体の案件数は3196件と過去最多となった。
2020年1~9月のM&A金額(適時開示ベース)は前年同期比倍増の9兆6860億円となり、2018年(11兆3255億円)に次ぐ過去2番目の高水準を記録した。1~9月の取引金額ランキングの上位30は次の通り。
2020年9月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比8件減の61件だった。前年を下回るのは2カ月連続。前月比では7件減った。新型コロナの状況下、1~9月の累計件数では前年と同水準を維持しているものの、足元では一服感が広がってきた形だ。