2016年「休廃業・解散企業」動向調査 過去最多を更新

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代表者年齢別 80代以上が過去最高の13.9%

休廃業・解散した企業の代表者の年齢別(判明分のみ)では、60代が最も多く34.7%だった。次いで、70代の33.6%、80代以上の13.9%と続き、60代以上が82.3%を占めた。
60代以上の構成比82.3%、80代以上の同13.9%は、ともに2000年以降で最高となった。休廃業・解散の大きな要因に、高齢化と後継者不足があることがわかる。

休廃業・解散 年代別

2016年の休廃業・解散は2万9,583件で、企業倒産の3.5倍に達し、調査を開始した2000年以降で最多を記録した。休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60代以上が82.3%と高齢化問題も浮き彫りになった。さらに事業承継の問題も一対になり、件数を押し上げているとみられる。
だが、これまでは経営者が自主的に休廃業・解散を判断したケースが大半だ。政府は2016年6月2日に「日本再興戦略2016」を閣議決定し、2015年度の名目GDP(国内総生産)532兆円を600兆円に引き上げる目標を掲げた。これを受けた形で日本銀行は同年6月30日、金融機関向けに「再チャレンジ支援、事業再生・廃業支援」セミナーを開催した。事業の先行き展望が描けない企業に人材や資産を縛り続けることは地域経済に望ましくないとの認識を示し、事業再生や廃業支援への取り組み強化を促した。同年9月15日、金融庁も「金融仲介機能のベンチマーク」を公表、選択項目に「転廃業支援先数」を設定し、事業承継や転廃業支援への取り組みを強めている。


この取り組みが本格化し、金融機関が経営者の経営手腕や扱い商品の将来性、市場性、業績などを含めた「事業性評価」を進めると、条件変更を中心とした近年の金融支援に甘んじ、抜本再生を先送りしてきた企業の市場退出が現実味を帯びてくる。
また、日本の雇用環境は日常業務を通じ、職能スキルを向上させるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が中心だ。それだけに日常業務で他業界で必要な技能を習得することは難しい。経済センサスによると従業者数の約70%を中小企業が占めている。これら企業の休廃業・解散が加速する前に、廃業支援や後継者育成、雇用者支援にとどまらない、官民一体となっての新規参入を促す起業支援など、新陳代謝を活性化させる基盤作りも急務になっている。

東京商工リサーチ「データを読む」より

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