実務者必見!「こっそり学ぶPPA(取得原価の配分)」第2回 無形資産の評価
M&Aに必須のPPA(Purchase Price Allocation)について、実務経験が豊富な会計士が留意すべき点について解説します。
株式会社Stand by C
| 2016/8/26
2016.08.26
日本基準では、無形資産とのれんいずれも償却が必要なため、端的に言えば、どちらに区分されるかは償却年数の違いとなって表れるに過ぎないとも言えます。
これに対して、IFRSや米国会計基準ではのれんは非償却のため、無形資産に配分するか、のれんとするかの差は日本基準に比べて大きな差となって表れます。
さらに、IFRSや米国会計基準では、認識する無形資産の耐用年数を確定できないケースがあります。実務上は、商標やブランドがそのような取扱いとなることがしばしばみられます。
耐用年数を確定できない資産は会計上非償却となりますが、のれんの場合と同様、被買収企業の業績不振等によりひとたび減損となれば、買収企業の業績へのインパクトは重大なものとなる可能性があります。
(図表2)M&Aにおいて認識された無形資産の開示例
会計基準 |
旭化成株式会社 日本基準 |
株式会社ローソン 日本基準 |
エムスリー株式会社 IFRS |
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企業結合
概要 |
企業名称: Impact Instrumentation, Inc. 事業内容: 呼吸管理器具の製造・販売 企業結合日:2014年10月31日 取得原価:3,061百万円 |
企業名称: 株式会社成城石井 事業内容: 食品総合小売業 企業結合日:2014年10月31日 取得原価:36,269百万円 |
企業名称: 株式会社Integrated Development Associates 事業内容: アジアにおける医薬品開発支援・コンサルティング事業 企業結合日:2015年3月1日 取得原価:1,741百万円 |
のれんに |
発生したのれんの金額等 ①金額:1,356百万円 ②償却方法及び償却期間: 10年均等償却 |
発生したのれんの金額等 ①金額:28,743百万円 ②償却方法及び償却期間: 20年均等償却 |
発生したのれんの金額等 ①金額:1,246百万円 ②償却方法及び償却期間: 非償却 |
無形資産 |
のれん以外の無形固定資産等 ①無形固定資産に配分された金額等 技術関連資産437百万円 商標権22百万円 顧客関連資産623百万円 ②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間 技術関連資産13年 商標権5年 顧客関連資産7年 合計10年 |
のれん以外の無形固定資産等 ①無形固定資産に配分された金額等 商標権12,000百万円 ②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間 商標権20年 |
のれん以外の無形固定資産等 ①無形固定資産に配分された金額等 受注残126百万円 カスタマーリレーションシップ36百万円 ②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間 受注残3年 カスタマーリレーションシップ4年 |
(※筆者作成)
M&Aに必須のPPA(Purchase Price Allocation)について、実務経験が豊富な会計士が留意すべき点について解説します。