2.IFRSと日本基準における無形資産の取扱いの違い

 日本基準では、無形資産とのれんいずれも償却が必要なため、端的に言えば、どちらに区分されるかは償却年数の違いとなって表れるに過ぎないとも言えます。

 これに対して、IFRSや米国会計基準ではのれんは非償却のため、無形資産に配分するか、のれんとするかの差は日本基準に比べて大きな差となって表れます。

 さらに、IFRSや米国会計基準では、認識する無形資産の耐用年数を確定できないケースがあります。実務上は、商標やブランドがそのような取扱いとなることがしばしばみられます。

 耐用年数を確定できない資産は会計上非償却となりますが、のれんの場合と同様、被買収企業の業績不振等によりひとたび減損となれば、買収企業の業績へのインパクトは重大なものとなる可能性があります。

(図表2)M&Aにおいて認識された無形資産の開示例


会計基準
旭化成株式会社
日本基準
株式会社ローソン
日本基準
エムスリー株式会社
IFRS
企業結合

概要

企業名称:
Impact Instrumentation, Inc.
事業内容:
呼吸管理器具の製造・販売
企業結合日:2014年10月31日
取得原価:3,061百万円
企業名称:
株式会社成城石井
事業内容:
食品総合小売業
企業結合日:2014年10月31日
取得原価:36,269百万円
企業名称:
株式会社Integrated Development Associates
事業内容:
アジアにおける医薬品開発支援・コンサルティング事業
企業結合日:2015年3月1日
取得原価:1,741百万円

のれん
関する開示

発生したのれんの金額等
①金額:1,356百万円
②償却方法及び償却期間:
10年均等償却
発生したのれんの金額等
①金額:28,743百万円
②償却方法及び償却期間:
20年均等償却
発生したのれんの金額等
①金額:1,246百万円
②償却方法及び償却期間:
非償却

無形資産
に関する開示

のれん以外の無形固定資産等
①無形固定資産に配分された金額等
技術関連資産437百万円
商標権22百万円
顧客関連資産623百万円
②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間
技術関連資産13年
商標権5年
顧客関連資産7年
合計10年
のれん以外の無形固定資産等
①無形固定資産に配分された金額等
商標権12,000百万円
②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間
商標権20年
のれん以外の無形固定資産等
①無形固定資産に配分された金額等
受注残126百万円
カスタマーリレーションシップ36百万円
②全体及び主要な種類別の加重平均償却期間
受注残3年
カスタマーリレーションシップ4年

(※筆者作成)