今年7月には、中国での麺事業拡大を図るため、香港系の投資会社と現地に合弁会社を設立すると発表。2011年から既に中国での麺事業は手がけていたが、中国での食に対する安全意識が高まったことから、日系の食品メーカーに注目が集まっており、今後の需要の増加が見込めると踏んだ。
そして、今回のブルームコ取得のカギとなるフリーズドライ食品は、実は日本国内でも成長著しいマーケットだ。フリーズドライタイプの即席みそ汁だけを見ても、その売り上げは2008年から2014年の間に約5倍にも成長しており、市場規模は2014年時点で約1000億円といわれている。フリーズドライ食品は非常食として既に高い評価を得ているが、その技術とともに再現できる味も進化・多様化し、日々の食事に取り入れても何ら遜色はなくなってきた。常温で長期保存でき、お湯を注ぐだけで食べられるので、忙しい人やひとり暮らしのシニア世代にも重宝されている。
ブルームコが持つフリーズドライ加工技術と英米や中国などの製造・販売網を手に入れた今、永谷園はよりクオリティーの高い商品を国内外に向けて供給できるようになるだろう。同社の代名詞ともいえるお茶づけも、日本の食材や食文化がフリーズドライで海を渡るようになれば、寿司や天ぷらなどと並んでその存在を世界にアピールできるはずだ。
文:M&A Online編集部