現物出資によるM&Aとは何ですか?

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現物出資に関する税金

どの手法を利用する場合でも、税負担についての理解が必要です。現物出資する場合の税金にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

(1)所得税、法人税
個人が現物出資する場合は、現物出資財産を時価で譲渡したとして含み益に所得税が課税されます。

法人が現物出資する場合は、組織再編成税制が適用されることになります。適格現物出資とされる場合には、課税が繰り延べられ、非適格現物出資とされる場合には時価譲渡として含み益に法人税が課税されます。

適格現物出資とは、現物出資する法人に株式のみが交付される現物出資で、次のどれかに該当する現物出資です。
①100%の資本関係がある会社間の現物出資
②50%超の資本関係がある会社間の現物出資
③共同で事業を営むことを目的とした現物出資

出資といえども、会社に現物が譲渡されることに変わりはありませんので、出資時に含み益があれば課税が発生することがありますのでご注意ください。

(2)消費税
現物出資は、資産の譲渡として消費税の課税対象となります。現物財産が消費税の課税対象となる資産であれば、消費税も課税されます。合併や分割などの組織再編成は非課税ですので、両者の違いに留意する必要があります。

(3)登録免許税、不動産取得税
現物出資する財産が不動産であるときは、登録免許税と不動産取得税も発生します。不動産取得税には現物出資により法人を新設する場合の特例があり一定の要件を満たすときには非課税となります。

現物出資としてのDES

買収したい会社に、オーナーからの役員借入金が残っているケースが中小企業ではよくあります。そんなときは、役員借入金をDESにより資本金へ振り替えてから、M&Aに入っていくことが考えられます。

DESとは、Debt Equity Swapの略称で、債務(Debt)と資本(Equity)を交換する(Swap)ことをいいます。これにより、オーナーの会社に対する貸付金を株式に変えることができます。

DESには、「現物出資型」と「金銭出資型(疑似DES)」があります。現物出資型はすでに貸し付けている債権を資本化する手法です。それに対して、金銭出資型は、債権者が金銭出資をしたあとにその金銭で借入金を返済する手法です。これにより、DESと同じような効果が得られるため、「疑似DES」と呼ばれます。

DESのうち金銭出資型による場合には、お金が実際に動きますので準備が必要となる点に注意してください。また、税務上の難しい論点も色々とあるので、DESを行う場合には、必ず税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

税務署
現物出資する場合の税金にも注意しよう

文:藤本江里子/編集:M&A Online編集部

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2018/03/07

資金の流出を伴わずに事業再編やM&Aを実施する手法としては合併、会社分割、株式交換、株式移転など様々なものがあるが、現物出資もそうしたスキームの一つに数えられる。「モノを出資する」という特殊性から評価や税務の課題も見え隠れする。