中小企業庁のM&A支援登録機関、2980件と過去最多を更新
中小企業庁が公募している2022年度のM&A支援機関が1月分までで2980件に達し、過去最多を更新した。しかし一方で、事業承継・引継ぎ補助金の申請数と採択率は頭打ちとなっており、支援の課題も残る。
サーチファンドが日本に初めて輸入されたのは2014年に遡ります。現在Search Fund Japanの代表を務めている伊藤公建さんがマッキンゼーやベインキャピタルでのご経験をもとにサーチ活動を行い、株式会社ロハスインターナショナルの代表になられました。
そこから数年が経過した後、2020年にYMFG Search ファンドの渡邊謙次さんが、そして、同年に弊社の河本和真が駒沢の森こども園を承継する形でサーチファンドの実行数が少しずつ増えています。現在では弊社の把握している投資案件だけで11件のサーチファンドが存在し、少しずつこの数は増えております。次期後継者(サーチャー)が自身でサーチ活動をするアメリカで主流のトラディショナル型のサーチファンドとは異なる日本特有の形も模索されています。
日本特有のサーチファンドを可能にしているのが、日本で強く普及しているM&A仲介業の存在です。1990年代より日本でも多くのM&A仲介会社が設立され、事業者の規模は大小様々ですが現在は1、2名の小規模な会社も併せ、400社以上存在していると言われています。
こうしたプロの仲介会社が日々金融機関との情報交換や電話・DMなどを通じた全国の譲渡意思のある企業の発掘を行っています。M&A仲介会社が多数存在することによりサーチャーは自身で企業への電話やメールでのアポイントを取るのではなく、彼らと連携し、自身の承継対象となる企業の発掘を一緒に行うことが可能になります。
弊社では日本の事業承継問題を解決するためには、一人でも多くの後継者となりえる経営者人材を作り出すこと事がカギになると考えています。よって、トラディショナル型サーチファンドの推進はもちろんのことですが、これに加えて現職に籍を置きながら、経営する上で必要なスキルやマインドを学ぶ環境を作り、仲介会社と連携してサーチ活動を行うことで完結させる取り組みを推奨しています。これらの仕組みは効率的に経営者となるための準備を促し、サーチファンドを推進する上で、非常に意義が大きいと実感しています。
サーチャーは、上述のようにプロのM&A仲介会社からの支援を受けられる環境に身を置き、承継したい企業の条件を定めることにより、効率的に承継候補となる企業情報の紹介を受けることができるようになります。この仕組みを通じて、月に数十件の企業情報を獲得しているサーチャーも増えてきました。
これらの仕組みを総称して、我々は「日本式サーチファンド」と呼んでいます。この「日本式サーチファンド」の導入は、M&A仲介会社を活用した効率的な承継候補企業の発掘と、後継者候補が中心となった承継スタイルという、トラディショナル型サーチファンドの持つ魅力を、両立させたモデルとなります。
既存のトラディショナル型サーチファンドに加え、この仕組みを最適化していくことで、サーチャーにとっても、後継者を探す経営者(売主)にとっても価値のある機会提供になると信じています。
文:竹内 智洋Growthix Investment代表取締役
中小企業庁が公募している2022年度のM&A支援機関が1月分までで2980件に達し、過去最多を更新した。しかし一方で、事業承継・引継ぎ補助金の申請数と採択率は頭打ちとなっており、支援の課題も残る。
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