トップ > ビジネスと経済 > M&A業界 >中小企業庁のM&A支援登録機関、2980件と過去最多を更新

中小企業庁のM&A支援登録機関、2980件と過去最多を更新

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

昨年度実績を上回り、過去最多を更新

中小企業庁が公募している2022年度のM&A支援機関が1月分までで2980件に達し、過去最多を更新した。ただ、これまで「0~2人」で区分していたM&A支援業務専従者数別の登録件数のうち「0人」は641件に上る。業務経験の浅い登録機関も目立つ中、M&Aを必要とする民間事業者と行政をつなぐ役割をどこまで果たせるかが焦点となる。

M&A支援機関登録制度は、経済産業省が2021年4月に策定した「中小M&A推進計画」に基づき、同年8月に運用開始。2021年度は1、2次公募で計2823件の登録が認められ、2022年度公募は昨年9月に始まった。

1月公募分は、過去最多を記録した2022年12月公募分(2887件)から93件の上積みとなった。2021年度公募の登録数より157件多く、2月13日の締め切りまでの分を合わせた最終的な登録件数が初の3000件台に届くかが注目される。

M&A支援機関の登録件数(2023年2月16日時点)

内訳は法人が2188件、個人事業主が792件で、種類別はM&A専門業者が1057件と最多。うち仲介は644件、フィナンシャル・アドバイザー(FA)は413件だった。このほか、税理士595件、コンサルティング会社(経営コンサル)408件、公認会計士295件、中小企業診断士220件、地方銀行78件、信用金庫・信用組合65件などとなっている。

登録の2割がM&A支援業務専従者数「ゼロ」

国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)で設定されているM&A仲介手数料などへの補助は、登録制度で認定されたM&A支援機関が提供するサービスのみが対象となる。国の”お墨付き”を得たに等しい登録機関に「専門家」としての高度な知見が求められるのは当然だが、M&A支援業務専従者数がゼロの割合は20%を超える状況となっている。

さらに、「1~2人」(1485件)を合わせた登録機関は2126件と全体の70%を上回っており、M&Aを望む民間事業者をサポートする「専門家」の少なさが気にかかる。設立年代別も「2020年代」(1486件)、「2010年代」(1134件)の合計が2620件と大半を占め、これらの数は12月公募分より増えている。

M&A支援業務専従者数別の登録件数(2023年2月16日時点)

専従者数が少なく設立年代が新しい登録機関の業務体制・実績は、M&A仲介を専業とする上場系の企業などに及ばないことが予想される。一方、中小企業庁がホームページで公開している登録FA及び仲介業者一覧では、法人番号と企業名(照合)/事業所名、本店所在地しか把握できないのが実情だ。

事業承継・引継ぎ補助金は2023年度も継続される見通しだが、申請数と採択率はすでに頭打ちとなっている。事業価値を高める上で同補助金の活用を必須とする民間事業者にとっては、パートナーシップを交わすのに相応しい登録機関のクオリティーをいかに見極められるかが重要になりそうだ。

文:M&A Online編集部

NEXT STORY

大和証券G、M&A手数料収入 過去最高の352億円

ロイター・ニュース・アンド・メディア・ジャパン
| 2022/6/1
2022.06.01

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5