厚労省、金融機関の「M&Aアドバイザー」に裁量労働制適用か
厚生労働省は近く、銀行と証券会社で働く「M&Aアドバイザー」に裁量労働制を適用すべきかどうかの方針を取りまとめる。
中小企業庁が実施している2022年度公募「M&A支援機関登録制度」の登録ファイナンシャルアドバイザー(FA)と仲介業者の数が、年内公表分で2,817件となった。9月の公募開始から毎月増えており、来年2月の締め切りまでに2021年度公募の登録数(2,823件)を上回るのは確実となっている。
M&A支援機関登録制度は、経済産業省が2021年4月に策定した「中小M&A推進計画」に基づき、同年8月に運用を開始。国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)でM&A支援機関を活用する際に生じる仲介手数料などへの補助は、登録制度で認定された支援機関が提供するサービスのみが対象となる。
支援機関はM&A専門業者(FA・仲介)や金融機関、商工団体、士業専門家、M&Aプラットフォーマー、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターなどで、2021年度の1次公募(8月24日~9月21日)で2,278件が登録。2次公募(1月21日~2月21日)では、新たに545件の登録が認められた。
2022年度公募の期間は9月21日~2月13日。申請が認められた支援機関は9月分が2,688件、10月分は2,767件だった。11月分の2,817件の内訳は法人2,072件、個人事業主745件。種類別はM&A専門業者1,082件(仲介649件・FA433件)、税理士575件、公認会計士276件、地方銀行77件、信用金庫・信用組合61件などとなっている。
支援機関の数自体は3,000件に迫る勢いだが、中小企業が安心してM&Aを活用できる基盤づくりにつながるかどうかはこれから。2021年度と変わらず、M&A支援業務専従者数別の登録数は「0~2人」が70%余りの1,998件に上る。設立年代別も同様で、業務経験が浅い「2010年代」が1,101件、「2020年代」が1,361件と大半を占めている。
こうした中、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)の申請数は先細り傾向で、採択率も50%程度で頭打ちとなっている。支援機関であることのメリットは同補助金の活用が広がらなければ十分に享受できないため、このまま推移すれば登録制度の形骸化も懸念される。
経済産業省は2023年度予算概算要求で、事業承継・引継ぎ補助金に前年度当初比3億7,000万円増の20億円を計上。事業価値の高まりを期待できるM&Aの促進に力を入れる。
同補助金の申請数と採択率の底上げに向けては、事業再編などの後押しを必要とする民間事業者と行政を円滑につなぐため、支援機関を効果的に活用する仕組みづくりが求められる。
文:M&A Online編集部
厚生労働省は近く、銀行と証券会社で働く「M&Aアドバイザー」に裁量労働制を適用すべきかどうかの方針を取りまとめる。