海外M&Aで地政学は欠かせない。今、世界で何がおき、そこにはどんなリスクがあるのか。「M&A地政学」では、国際政治学者で地政学の観点から企業のリスクコンサルティングを行うStrategic Intelligence代表の和田大樹氏が世界の潮流を解説する。今回は「海外M&Aを考える企業が把握するべき政治リスク」をテーマにする。
・・・・・
近年、日本企業による米国企業の買収が増える中、バイデン氏は1月3日、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止する意思を正式に表明した...
トランプ政権の発足により、世界の地政学的構造は大きな転換点を迎えている。バイデン政権下で深まった民主主義陣営と権威主義陣営の対立構造は、トランプ氏の実利重視の外交政策により変容する可能性が高い。特にウクライナ問題での同盟国との対立や、中国への強硬姿勢は、既存の陣営間の分断を加速させ、「トランプのアメリカ」「民主主義陣営」「権威主義陣営」「グローバルサウス」という新たな多極化構造を生み出すことが予想される。
「M&A地政学」では、国際政治学者で地政学の観点から企業のリスクコンサルティングを行うStrategic Intelligence代表の和田大樹氏が世界の潮流を解説する。今回は「第2次トランプ政権とウクライナ情勢の行方」を取り上げる。
接戦が予想されていた米大統領選挙はトランプ前大統領の大勝で終わった。そこで気になるのが「宙ぶらりん」になっている日本製鉄による米USスチールの買収だ。選挙戦では「絶対に認めない」と明言していたトランプ氏。日鉄は買収を断念せざるを得ないのか?
イスラエル軍が18年ぶりにレバノンへ侵攻したのを受けて、イランがイスラエル国内に弾道ミサイルを発射する事態になった。すでに軍事侵攻をしているガザ地区に加えて、レバノンにも戦火が拡がった。国際世論が自制を呼びかける中、なぜ紛争は拡大するのか?