一方、本家のバービーはどうなったのか。マテル社は、バンダイと合弁会社マーバコーポレーションを設立し、日本市場向けのバービー(マーバ・バービー)を新たに発売する。しかし、その顔立ちがジェニー(つまりはタカラ・バービー)にそっくりだったため、タカラから提訴されてしまい、「人形裁判」として注目を集めた。
結局、マーバ側がバービーの顔立ちを変えることで和解するも、バービーの売上は低迷し1989年には生産が打ち切られ、マーバも解散。同年、マテル社とバンダイの提携が続く中で、バンダイから新たなバービー(バンダイ・バービー)が発売されるが、こちらも相変わらず人気が出ず、わずか2年で販売終了となってしまった。こうして1991年以降は日本独自のバービーは消え、マテル社のバービーがバンダイから販売されることに。2003年にはバンダイとの提携も終了し、現在バービーはマテル社の日本法人であるマテル・インターナショナルから販売されている。
<バービーを巡るライセンス事情の変遷>
30代以上の間で、幼い頃の記憶にあるバービーと現在のバービーの印象が大きく異なったり、ジェニーとバービーを混同したりするのは、こうしたバービーを巡る大人の事情があったからだ。このように一度定着した名前やデザインが使えなくなるというのは、ブランドイメージや商品イメージを大きく左右し、その売上にも影響しかねない。まさにライセンス契約のある種の繊細さを物語る一例といえるだろう。
文:M&A Online編集部
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