【キャリア危機への処方箋(2)】「正論で反論」は逆効果。社内抗争をうまく切り抜けるには?

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対立を避けるためには・・・結婚に例えると?

結婚と一緒!旧組織のルールの押し付け合いはNG

弓代表は、M&Aの際にこのような対立を避けるために、すべての社員が心掛けてほしいことを、結婚に例えて説明する。

「A家の夫とB家の妻が結婚してC家という新しい家庭を築いた場合を考えてみてください。結婚したのに、夫や妻が自分の家のルールに固執していては対立を生みます。自分たちでC家をつくったのだから、新しいC家としてのルールを生み出そうという姿勢が大事です」。

確かに、実家のよさを主張し相手を否定するよりも、夫や妻が自分たちの家庭をどのように築いていくかを話し合う方が建設的といえそうだ。

企業もまったく一緒で、とくに大企業同士の合併の場合、自分の組織のやり方を少しでも残したいと思う経営者や社員の気持ちは強いだろうが、新しい企業としてのやり方を議論していくべきということになる。

そして、嫌がらせをしてしまう人は、変化全般に対して強い恐れを持つ傾向があると弓代表は指摘し、「前向きに捉える努力を」と、促す。

「何か起こったときに、『なんでこんなことが起こったんだ』という人と、『「プランドハップンスタンス(計画された偶発性)』として、チャンスと捉えるかでその後の人生が違うものになると思います」。

プランド・ハプンスタンス理論(Planned Happenstance Theory:計画された偶発性理論)
1999年にスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論。
クランボルツ教授らは、数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、
その内の8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたという結果を得た。
著書「その幸運は偶然ではないんです!(J.D.クランボルツほか、ダイヤモンド社)」

この姿勢は、リストラなど想定外の事態に直面した際こそ、その後の人生に違いをもたらすものになるという。

次回は、従業員にとってのまさに一大事、M&Aによってリストラを宣告されても、動じないためにどうすべきかをお伝えする。

取材・文:M&A Online編集部

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【キャリア危機への処方箋(1)】M&Aで社内は大混乱。賢いビジネスパーソンは転職すべき?

株式会社キャリアバランスについて

株式会社キャリアバランス 代表取締役 弓ちひろ(ゆみ・ちひろ)弓ちひろ
1級キャリコンサルティング技能士(国家資格) JCDA会員 国家資格キャリアコンサルタント養成講座講師。
電子機器メーカー退社後独立。フリーアナウンサー業と共に、コンサルティング会社等に所属し、キャリア開発、マネジメントスキルなど企業人の能力開発に携わる。株式会社キャリアバランス設立後、企業、行政、大学などでキャリアカウンセリングや キャリア開発系のプログラム開発・管理職研修の講師を務める。 企業研修および講師経験は25年間に渡り、年間200回を越えるペースで講演を行っている。 これまで延べ1500人のキャリアカウンセラーを世に送り出している。現在は、後進養成のほか、講演・メディアを通じ、ダイバーシティの推進支援に力を注いでおり、特に企業における女性の活躍推進のための支援に取り組んでいる。著書に働き続ける女性を応援した「無理しないほうがうまくいく!ナチュラルキャリア実践術(朝日新聞出版)」がある。

株式会社キャリアバランス 取締役 赤堀吉昭(あかほり・よしあき)
キャリアコンサルタント(国家資格)。2級キャリコンサルティング技能士(国家資格)。
神戸大学大学院総合人間科学研究科修了後、総合商社へ入社。総合商社では人事部にて、採用のほか研修等の企画・講師、新規設立会社の人事制度設立業務や関連子会社への採用コンサルティング、また航空機ビジネスを行う営業部署にて欧米企業の事業コンサルタントに従事。2009年から現職。内定率100%の就職活動塾を主宰しているほか、主に20代のビジネスパーソンを中心に、キャリア開発とビジネスセンス向上のためのビジネス塾を運営している。
詳しくはこちらから http://www.careerbalance.co.jp/

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