父との約束果たし会社譲渡

 3人兄弟の長男。高校卒業後、重い糖尿病を患っていた父親を助けるために、家業の燃料卸問屋で働き始めた。燃料のプロパンガスや炭、薪をトラックで運び、小売店に卸す仕事だ。きつい肉体労働だった。「父は生前、俺が死んだ後はお前の好きなことをやってもいいが、生きている間はこの仕事を続けてくれと言っていた」

 その約束通り、同世代の学生が遊んでいるとき、薬師寺さんは泥だらけになって働いてきた。20年前、父親が50代の若さで他界した後は、社長として会社を切り盛りしていたが、やはり夢が忘れられず、東京に住んでいた姉に、「彫刻家になろうと思うんやけど」と相談したところ、「まだ若いからやったらいい」と同意が得られ、独立を決意。1年間の社長業で会社を整理した。(次回は2月6日に掲載)


文:大宮 知信