実務者必見!「こっそり学ぶPPA(取得原価の配分)」第3回 実務で留意すべき点とは
M&Aに必須のPPA(Purchase Price Allocation)について、実務経験が豊富な会計士が留意すべき点について解説します。
・ストックオプションの割当時に1円/株の払込が必要
・払込を行うと、株式会社モバイルファクトリーの株式を2,325円/株で取得可能になる(2,325円/株は割当日前日の終値)
・よって、将来株価が上がった時(例えば3,000円/株になった時)に行使・譲渡すれば、675円/株(3,000円/株 - 2,325円/株)の譲渡益が得られる
(譲渡益には20.315%の所得税しか課税されない)
・ただし、ノックアウト条項に抵触した場合、ストックオプションを行使できるとは限らない。
有償ストックオプションには上記のようにノックアウト条項が付されることが通常であり、将来における行使の確実性が担保されないため、低い価額(1円/株)で発行可能となります。
(有償ストックオプションの発行自体はあくまでストックオプションの公正価値発行のため、取締役会決議による発行が可能)
なお、モバイルファクトリーの直近期(2015年12月期)の営業利益は連結ベースで3.1億円程度です。
今回発行の新株予約権を行使するためには、少なくとも営業利益が8億円を超える必要があるため、ノックアウト条項としてはそれなりに厳しく、また、それゆえに1円/株という極めて低い価格での発行が可能となります。
文:株式会社Stand by Cホームページ 事例研究(2016.07)より転載
M&Aに必須のPPA(Purchase Price Allocation)について、実務経験が豊富な会計士が留意すべき点について解説します。