――弁護士の上手な使い方はありますか?

 何を頼みたいのか、何を期待しているのかを明確に示し、事前やプロセス中でも十分な議論をすることです。その前提として、弁護士が行う各種の作業が、どういう意味を持つものかを理解することも必要だと思います。
例えば、DDにしても、何が何でも「フルDD」ではないし、コストと時間の無駄になる可能性が高いです。

 一例を挙げます。不動産会社が同業の会社のM&Aをするに当たりDDを依頼したとします。「ここで一稼ぎ」と考える弁護士は、「どんなリスクが隠れているかわからないので徹底的にDDをやりましょう。少しお金は掛かりますけれど」などと提案してくるでしょう。手数を増やす方が、当然、報酬も大きくなるからです。しかし、弁護士を使って膨大なコストをかけて、買収先企業が持つ多数の不動産について、登記簿を取り寄せて調べさせても、費用対効果の意味ではあまり意味はありません。

 自分が不動産会社であれば登記簿を散々見てきた社員はいくらでもいますし、その業界に長年いる人であれば、弁護士事務所で実際にDDを担当する、登記簿をちゃんと見たこともない1年目、2年目くらいの弁護士より、はるかに、登記簿から透けて見えてくる問題性や疑問点を見抜く力があるのです。

 ですから、そういうDDは、自分たちでやればよいのです。どうしてもわからない疑問点のみ弁護士に調べてもらい、弁護士はそれを徹底して調査分析する方が、よほど、コストも低くなるし、実効性も高いと思います。

こういったことは、いくらでもあります。弁護士の商売を邪魔するような話で、同業者の皆さんには申し訳ないのですが……(笑)。

 ただ、他方で、多数のDDの経験を積んだ弁護士でなければ見抜けないようなこともあります。DDを依頼する弁護士とは、十分議論し、こういう、弁護士ならではのプロっぽい仕事を全力でやらせればよいのです。依頼事項と期待を明確にするというのは、こういうことだと思います。