会社を売りたいなら「ぐしゃぐしゃな会社」にしておくな
――自分が会社を売る立場になることを想定して取り組んでおくべきことはありますか。

 私はいつも、「ぐしゃぐしゃな会社にしておくな」とアドバイスしています。つまり、売ることを想定しているならば、「売れる会社」にしておかなければならない、ということです。どんな小規模なM&Aでも、今どき、最低限でもDDは必ず行われますから、買収後にリスクが顕在化するような会社に買い手はつきません。

 例えば、持っている技術やサービスによっては上場会社が買い手になる可能性がある。しかし、自社の内部統制があまりにめちゃくちゃであれば、買い手は連結すると内部統制上の問題が発生するので買うことには二の足を踏むでしょう。

 また不明朗な関連当事者取引があるとか、必要な許認可が取れていない、利益相反がある、株主整理ができていないといった問題もきれいにしておかなければなりません。こうして「きれいな会社」にしておくことが、買い手の幅を広げることにもなります。

 買い手が気がつかなければよい、というものではありません。最近、年々、M&A後に、買い手から、「先生、こんな深刻な問題が隠れていました。どうしたらよいでしょうか」という相談が増えています。

 事後にそういう問題が顕在化すると、買い手は日に日に「だまされた」という思いを強くし、ひいては訴訟や大ごとになっていきます。ぐしゃぐしゃな会社を売り切って、シメシメと思っても、その後会社は買い手の手中にあるのですから、いずれにせよ分かってしまいます。「バレないようにする」よりも「なくしておく」ことが何より大事ということです。