更新料を「一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」ものとし、更新料の支払いに一定の経済的合理性を認めました。また、貸主・借主間の情報力や交渉力の格差についても看過できないほどの格差は無いと判断しました。
その上で「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り」消費者の利益を一方的に害するものではないとして、消費者契約法の適用を認めず、原則として更新料支払特約を有効と判断しました。
なお、今回の判決では更新料が高過ぎる場合についての明確な基準は示されませんでしたので、今後は個々の事案ごとに判断していくことになると考えられます。ただ、今回争われた事案の中には「1年更新で賃料の2ヶ月分を超える」更新料を定めたものもあり、これが高すぎない(有効)ということであれば、高額という理由で更新料支払特約が無効とされるケースは非常に少ないのではないかと思います。
今回の判決によって「更新料支払特約」の争いについては一定の決着がついたと考えられます。
しかしながら、賃貸借契約では「更新料」の他にも、契約終了時の明渡しに伴う原状回復や敷金返還などをめぐり貸主・借主間でトラブルが発生しやすいのが実状です。
文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所 メルマガVol.51(2011/09/30発行)より転載