PPAにおける無形資産の評価は、「無形資産の認識」→「無形資産の評価」の2つのステップで行われます。
日本基準の場合、無形資産の認識要否は、
(1)分離して譲渡可能か(企業結合会計基準適用指針第10号58、59、59-2項)
(2)価額を合理的に算定可能か(同適用指針第10号367-2項)
という2つの要件を満たすかどうかにより判断されます。
PPAにおいて認識される無形資産には、図表2のようなものがあります。
このうち、商標(ブランド)、顧客との契約、特許権、契約関連資産などが、実務上認識されることが多い無形資産として挙げられます。
(図表2)PPAで認識されることが多い無形資産
区分 | 無形資産 |
---|---|
マーケティング関連 | 商標・商号
サービスマーク、団体商標、証明マーク 商業上の飾り 新聞のマストヘッド インターネットのドメイン名 競業避止契約 |
顧客関連 | 顧客リスト 受注残 顧客との契約・関連する顧客との関係 契約外の顧客関係 |
契約関連 | ライセンス・ロイヤルティ・スタンドスティル条項 広告・建設・経営・サービス・商品納入契約 リース契約 建設許可 フランチャイズ契約 営業許可・放映権 利用権 サービサー契約 雇用契約 |
技術関連 |
特許権を取得した技術 ソフトウェア・マスクワーク 特許申請中・未申請の技術 データベース 企業秘密(秘密の製法・工程等) 仕掛中の研究開発 |
(※筆者作成)
参考:企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第10号
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/ketsugou/ketsugou_10.pdf
次回は、「PPAにおける無形資産の評価」について取り上げます。
[文]株式会社Stand by C 取締役/公認会計士・税理士 大和田 寛行