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「第二次納税義務の判例まとめ」 (完)

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 つまり、裁決事例上は表面的には国税徴収法第何条やらDCF法がどうたらとかテクニカルな話に終始していますが、根っこはそんなテクニカルな部分では無いような気がするのです。

 上記のような案件の場合、いくつかの選択肢は検討しているでしょう。

 私は当事者でないので何とも言えませんが、例えば、
 ・ 分割した事業がもうかる事業ならば、銀行融資なりを受けて税務署に滞納分を納付する。もちろん、銀行融資は真面目に返す必要があります。
 ・ 民事再生法なりを適用し、法的な監理の下で再生を目指す。ただし、信用力低下などにより事業が毀損(きそん)する可能性があります。
 ・ 第三者などにM&Aしてもらう。A氏は経営者として残るか、アドバイザーとして残るかはM&A先次第。
 などは恐らく検討していると思います。

 これらの検討の結果、裁決事例にあったような行為の選択をしたのではないかと想像します。

 スキームを検討するとき、あるいはスキームについての検証を依頼されたとき、私は、「全体的に見て、誰が得をするのか、誰が損をするのか」は必ず確認したいと思っていますし、するようにしています。なぜなら、あるスキームにおいて、「得をする立場の人」は文句を言ってくることはありませんが、「損をする立場の人」は文句を言って来たり、法的な権利を主張したりするからです。

 あなたが当事者で「相手方だけが得して、自分だけが大損するスキーム」を提示させられたら納得しませんよね? 場合によっては、損をする人は全力でスキームを潰しに来ます。

 なので、その辺を確認しないと「スキーム案」はただの「絵に描いた餅」になりかねないのです。

 上記の裁決事例の件に出てきたスキームで言えば、
 「A氏が得をする立場」であり、「国税が損をする立場」なのは明らかです。
 ですから、国税が権利を主張してくるのが当然なのです。
 しかも、あまりにやり過ぎて、国税側が怒るようなケースでは、国税徴収法187条などの罰則規定の適用を検討するリスクだってあると思うのです。

 特に事業再生などの場面では、誰かが損をするということが避けられないケースがあります。

 でも、解散や清算などの結了型でなく、再生の場面ならば、事業体は再生の場面でも、その後の継続後も、色々な利害関係者との関係は続きます。

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