メザニンファイナンス、コスト高く

 近年は金融機関借入や通常のファンドの活用時のデメリットを排する解決策として、メザニンファイナンスの活用も提唱されている。こちらもファンドが出資することに変わりはないのだが、保有するのは議決権のない優先株式だ。経営陣の議決権希薄化せず、BS、P/Lも毀損しない。ファンドのエグジット時までは元本の返済が不要であり、キャッシュフローの負担も軽い。

 ただし、優先株式の配当自体は高くつく。一例をあげると、この手法で斯業大手の某ファンドが求める配当は年に10%である。資本コストとは言え実態は利息であるから、マイナス金利の今日においては、費用対効果として悩むところだ。当然、ファンドのエグジット時には株式を買い取る必要もある。

MBOの資金調達方法(赤点線は合併ライン)

 こうした資金調達の問題を根本的に解消するには、SPCでの借入を低く抑える必要がある。そのためには経営陣の自己資金を厚くするか、買収価額を抑えるかのいずれかだ。前者の難しさから資金調達を検討している以上、現実的なのは後者であるが、オーナーからしてみれば手塩にかけて育てた会社を安く売らねばならないことになる。優良企業であればあるほどに、税務上の問題をクリアする手間もさることながら、第三者に売却をした場合とのキャピタルゲインの差は開く。

 自身や会社を理解してくれる経営陣に後を委ねることが出来るのはMBOの大きな魅力だが、同時にキャピタルゲインを求めるならば、委ねる会社は今のままとは行き難い。

 MBO事業承継に活用出来るか否かはオーナーが事業承継に何を求めるか次第である。

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文: ストライク 企業情報部・井上 美沙

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