MBOスキームとは?

 ここでMBOスキームについて確認したい。

 まずは経営陣が買収の受け皿会社となるSPC(特別目的会社)を設立し、このSPCが現オーナーから対象会社の株式を譲り受けて子会社化する。その後2社が合併することでMBOが完了する。

 スキーム自体はシンプルだが、問題は資金調達である。

 経営陣には通常それほどの資金力がないため、金融機関から買収資金を調達するのが一般的だ。未上場企業においては、対象会社のキャッシュフローを担保に借入を行うLBO(レバレッジド・バイアウト)という訳にも行かず、借入の際には対象企業の資産を担保とすることになる。よって、対象会社に資産がない場合、あるいは借入過多の場合には資金調達が行えず、MBO自体を断念せざるを得ない。一方で、問題なく資金を調達出来た場合も手放しには喜べない。この借入はそのまま合併後の対象会社の借入となる。

■借入金が重荷、最悪のシナリオも

 対象企業が優良企業であればあるほど株価は高く、買収資金の為の借入もかさむ。まず、BSが崩れるのは避けられない。なおかつこの借り入れは買収後の対象会社のキャッシュフローから返済をせねばならない為、損益計算書(P/L)、キャッシュフローの悪化も否めない。MBOの際の借入の返済がキャッシュフローを圧迫し、本業に必要な投資さえままならず、事業そのものが傾く――そんな最悪のシナリオも決して他人事とも言い切れない。

 せっかくなので資金調達についてもう少し検討しよう。

 未上場であってもそれなりの規模のある優良企業なら、MBOにファンドを活用する手もある。この場合には対象会社の貸借対照表(BS)はもちろん、P/L、キャッシュフローも毀損しない。ただし、出資比率を考えれば、経営陣の議決権は当然に希薄化する。経営権を握るのはファンドである。

 当然ファンドは数年後にエグジット(売却)を行う為、対象会社で株式を買い取るか、第三者に株式を転売されるかいずれかを選ぶことになる。前者であれば、対象会社に十分なキャッシュがなければ結局借入を行わざるをえない。後者であれば、当初は予想しなかった第三者に経営権が移転する。MBOの目的は果たして達成出来るのか。