震災を忘れない! 首都・京阪神・中部圏で学ぶ防災拠点3選

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モノづくり日本一の中部圏、「減災」の旗を振る名古屋大学(愛知県)

 中部圏は東海道新幹線、東名・名神・新東名高速道路、中央自動車道など高速交通ネットワークの要衝であると同時に、日本を代表するモノづくり産業の集積を誇る。トヨタ自動車のお膝元である愛知県は自動車産業の製造出荷額で全国の4割を占め、自動車をはじめ製造品出荷額全体でも1977年以来全国トップで、2位の神奈川県の約2.5倍と圧倒的な差をつけている。南海トラフ巨大地震(東海、東南海、南海地震)が起きれば、経済的な損失は計り知れない。

  被災の中心に位置する基幹大学として減災に貢献するー。こんな掛け声とともに、名古屋大学は2012年1月、減災連携研究センターを学内に開設した。2014年3月には「減災館」を完成。地震や防災の研究者が集結し、全館が耐震技術の開発と実験の場となっている。高層ビルで巨大地震に遭遇した時の揺れを再現できる振動台や、長周期のゆったりとした大きな振動を再現する実験装置などを備え、有事には災害の対応拠点の役割を担う。

名古屋大学が学内に設けた「減災館」(名古屋市千種区)……名古屋大学ホームページより

「 減災館」はふだん市民に開放しており、1~2階(振動再現装置、減災ギャラリーなど)と地下の免振ギャラリーが見学できる。開館時間は火曜~土曜日(13~16時。第2・4火曜、祝日を除く)。

  2017年7月には愛知県、名古屋市、名古屋大学を中心とする「あいち・なごや強靭化共創センター」が発足し、減災館を拠点を構えた。産学官による防災・減災の常設研究組織は愛知県県として初めてとされ、大村秀章・愛知県知事は「強さとしなやかさを備え、復元力のある愛知と名古屋をつくりたい」と期待を込める。

中部圏のけん引役を担う…愛知県庁

  中部圏で待たれるのが基幹的広域防災拠点の整備だ。南海トラフ巨大地震では中部圏全体に及ぶ大規模災害に備える必要がある。こうした広域にまたがる大災害を想定した防災拠点については、三大都市圏のうち、首都圏(東京都江東区と川崎市)、京阪神圏(堺市)ですでに24時間体制で運用が始まっているのに対し、中部圏は“空白”状態となっており、国に早期整備を求めている。

◇減災館=名古屋市千種区 名古屋大学内、地下鉄名城線・名古屋大学駅から徒歩5分。 

文:M&A Online編集部





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