大量保有報告は、株券等の大量保有の状況に関する開示制度(通称5%ルール)に基づき、ファンドや投資家が該当の株式を保有してから5日間(証券会社などの特定報告者は最大2週間)経過してから報告書を提出します。大量保有をチェックするということは、速報性というよりもトレンドをウォッチするイメージとなります。
また5%ルールの保有割合は発行株式の5%以上ですから、そこに登場するのはファンドや創業家などが主体となります。大量保有をウォッチすることは、ファンド(基金)のトレンドや創業家の動向をウォッチすることにつながっていきます。
さて、先月初めに米英の有力機関投資家4社が日本の上場企業に対して、社外取締役を役員全体の1/3以上とするよう共同で要請するとの報道がありました。
この4社とは
・米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)
・英リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント
・英スタンダード・ライフ・インベストメンツ
・英BMOグローバル・アセット・マネジメント
で、4社を合わせた保有額は4兆円とのことです。
特に「米カリフォルニア州職員退職年金基金(通称カルパース)」は、金融マーケットでは有名なビッグプレイヤーですが、最近は大量保有報告書に顔を出していないので、これほどの日本株を保有しているとは(筆者は)意外でした。
M&A Onlineの大量保有報告書データベースで調べてみると、(余談ですがM&A Onlineのデータベースは大量保有報告書制度が開始された時点からサービスを開始しておりデータがあるのです)最後に大量保有を提出したのは2009年でしたので、かなり前になります。
保有者名は「カリフォルニア・パブリック・エンプロイーズ・リタイアメント・システム」ですので、読者のみなさんもすぐに確認することができます。
ところが最近は、どの上場会社の大株主にも顔を出していません。
一方、カルパースの運用総額は約33兆円(2016年3月時点)で、その4~5%程度は日本株に投資しているらしいので、1.5兆円ぐらいの日本株を保有しているはずです。先ほどのニュースの4社で4兆円と整合します。
さて、どういう保有形態なのでしょうか?
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