株主提案の数は過去最高を更新し、アクティビストによる提案も増えている。注目されるのは「投資のプロ」を社外取締役にする動きで、業績の監督や経営支援を目指す提案が増加している。
東証は「継続して資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たすための抜本的な取組み」を求めている。これは投資家から調達した資金を何に投資し、事業価値を高めていくのかを問うているのだ。
東京証券取引所は2023年3月31日、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」「株主との対話の推進と開示」「建設的な対話に資するエクスプレインのポイント・事例」の3点を上場会社に通知した。
東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対する資本効率の改善要請以降、自己株買いの実施を公表する企業が相次いでいる。大日本印刷グループは発行済み株式数の15%に当たる1,000億円が上限の自己株買いを実施する。
神田秀樹学習院大学教授が「日本としては珍しくアメリカではなく、ヨーロッパ、特にイギリスを参考に、ボードとエンゲージメントの2つの焦点を当てたことは特徴的」と述べているように、日本のコーポレートガバナンス・コードは英国の制度を参考にしている。
経済産業省は2022年7月に「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を改訂した。その中で筆者が欧米諸国との比較で特に興味深いと思った点をいくつか紹介する。
日本のM&Aはコーポレートガバナンス改革を背景に増加しているが、日本経済が直面する長期的な課題を考えると、継続的な改善が強く求められている。日本のM&A市場がより強固になれば、日本経済全体にとっての価値が引き出されることになるかもしれない。
買収防衛策を巡って活発な議論が行われるのは、日本の買収やその防衛策の法理は欧米とは異なるため、当然であり、今後のM&Aマーケットの発展のためには有益なことであると思われる。
米国デラウェア州の判例法は日本の判例法と異なり、買収防衛策の導入・発言を「取締役会」のみで決するが、買収防衛策の適法性はどのように判断しているか。
2021年は、敵対的買収が過去最高の8件となり、買収防衛策の適法性が裁判となるケースが急増したが、今年に入っても新たに買収防衛を導入する会社や株主がその防衛策の適法性を裁判に持ち込むケースが相次いでいる。