1946年、社会活動家の賀川豊彦が農村時計技術講習所をつくった。農村の若い人に時計の製造技能を学ばせ、時計工場の設立を狙ったものだ。長野県箕輪町の龍水社は、その修了者が生んだ時計工場。龍水社の掛け時計は一時代を築き、リズム時計に吸収された。
地方のバス路線などの廃止を防ぐ改正地域公共交通活性化再生法が5月27日の参院本会議で可決、成立した。存続が厳しくなった路線を引き継ぐ事業者を自治体が募集できるようになる。新型コロナの影響で事実上倒産したバス事業者も現れており対応が急がれる。
倉敷美観地区の一角にある林源十郎商店。倉敷生活デザインマーケットを標榜し2012年3月にオープンしたが、もとは倉敷の実業家が1657年、同地に創業した薬種業にさかのぼる。その偉業を顕彰する「林源十郎商店記念室」に倉敷薬種業のルーツをたどる。
1970年代まで、岩手・花巻と西郊の花巻温泉郷を結ぶ花巻電鉄は多くの行楽客を乗せて走っていた。花巻温泉郷を「東北の一大リゾート地に!」と目論んだのは、当時の岩手経済界のドン・金田一国士。金田一の見た鉄道とリゾートの夢は果たして実現したのか。
「ノリタケの森」は洋食器メーカーとして世界的に知られるノリタケカンパニーリミテドが創業100周年を記念し、2001年に開設した企業文化施設だ。広大な敷地に旧製陶工場施設などが並ぶ。その光景は、まさに日本陶業の格と質の高さを感じさせる。
高野山口周辺に、江戸・明治・昭和初期にかけて「再織」という手法で栄えたものの、やがて潰え、そして平成、令和に向けて復活を遂げた伝統産業がある。高野口パイル織物だ。起死回生にはどんな対応があったのか。地場中小事業者の伝統と革新の道筋を見る。
東京大学は日本国内に7つの地方演習林を所有している。最も古くに開設され、総面積5812ヘクタールを擁するのが秩父演習林である。演習林内にはいくつかの森林軌道が敷かれ、往時には大活躍していた。今回はその森林軌道をめぐるM&Aを見ていく。
山梨県・勝沼、国産ワイン発祥地に、若い3人の男がいた。宮崎光太郎、土屋龍憲、高野正誠。宮崎は日本初の国産ワイン産業をスタートさせた大日本山梨葡萄酒会社の設立発起人。土屋と高野はその大日本山梨葡萄酒会社がワイン留学に送り出した人物だった。
佐渡鉱山の観光を担うゴールデン佐渡は1970年に操業した。同じ佐渡の採掘を担う佐渡金山を、その操業停止とともに吸収合併し、2006年には秋田県鹿角市の尾去沢鉱山を吸収合併する。近代鉱山史における“もう一つの顔”、M&Aの歴史を歩く。
色絵磁器として国内はもちろんのこと海外でもつとに有名な石川県の伝統工芸「九谷焼」。その歴史は幾度かの栄枯盛衰を重ね、また分派も行われ、いわば数多くの経営統合や分散を経て現在に至る産業技術遺産といえる。その産業技術史を綾を振り返ってみた。