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「コーポレートガバナンス・コードを『そもそも』から理解する(その1)」

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3. 金融庁原案と東証コードの違い

 日本のコーポレートガバナンス・コードは「原案」となっているものと、そうでないものがあります。

 原案の方は、金融庁に設置された「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」(座長 池尾和人慶応義塾大学経済学部教授)による議論の結果、取りまとめられ、平成27年3月5日に公表されました。原案を受けて、東京証券取引所が、平成27年6月1日に「コーポレートガバナンス・コード」を取引所の有価証券上場規程の別添として定め、関連する上場制度の整備を行いました。コーポレートガバナンス・コード及び改正後の有価証券上場規程等は、同年6月1日から適用されています。原案を金融庁で作り、それを東証に渡して最終化するという手順になっています。なぜ、そんなに面倒くさいことになったのでしょうか?

 これはコーポレートガバナンス・コードを上場会社のルールにするためと考えられます。前述のとおり、上場規程として定めることにより、上場会社が守るべきルールとなります。金融庁は、金融商品取引法を所管しています。金融商品取引法では、例えば、有価証券報告書の提出義務を定めています。この法律に従って、上場会社は有価証券報告書を提出しなければなりません。そういう点では金融商品取引法の一部としてコーポレートガバナンス・コードを定めることもできたかもしれません。

 ここでハードローとソフトローについて理解しておく必要があります。ローといのはLAW、すなわち法律です。硬い法律と柔らかい法律と翻訳できます。法律は硬いのでハードローが法律です。ソフトローは,法的な強制力はないのですが、現実の経済社会において国や企業が何らかの拘束感をもって従っている規範を指します。

 コーポレートガバナンス・コードは、前述のとおり同業者などの体系的な規約なので、ハードローというより、ソフトローにふさわしいものです。このため、東京証券取引所の上場規程の一部として定めることとなったのです。証券取引所に上場するためには、上場規程を守ることが必要になります。会社のすべてが上場規程を守る必要はなく、上場したい会社だけが上場規程を守ればよいのです。それを守りたくなければ、上場しなければよいわけです。

 ちょっと回りくどい話になりましたが、金融庁が作った原案を東証が最終化したのは、ソフトローにしたかったからなのです。なお、実は金融庁原案と東証コードの内容は全く同じです。しかし、原案と東証コードには、その体系が次のように異なります。

【金融庁原案】

 序文

 基本原則

 原則と補充原則(一部に背景説明あり)

【東証コード】

 基本原則

 原則と補充原則(背景説明なし)

 資料編(序文、波形説明)

 東証コードに、金融庁原案の序文があるのは変なのでそれは外し、一部の原則や補充原則に背景説明があるのもバランスが悪いので外したようです。ただ、情報としては貴重なものなので、東証コードではこれらを資料編として末尾に付けたと考えられます。

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